お役立ち情報/情報ものしり帖

「定年うつ」「昇進うつ」
定年や昇進などの仕事や人生の節目に気持ちは落ち込み憂うつな気分に——。こんな症状に悩む会社員が増えています。仕事一筋の男性が陥りやすい「定年うつ」や、夏休み明けに症状が出始める「昇進うつ」です。回復には早めの受診と周囲の温かい見守りが必要です。

定年後、家に引きこもる父(イラスト)千葉県在住の男性(75)は2年前、40年以上続けた飲食店を閉じました。半年前に妻を亡くし、持病の腰痛も悪化していました。閉店2カ月後に長男(50)が異変に気づきます。「明るく社交的だった父が急に口数が減りふさぎ込むようになった」。精神クリニックで軽いうつ状態と診断されました。

慶応大保健管理センター(東京都新宿区)の大野裕(ゆたか)教授は定年うつの特徴を「アイデンティティーだった仕事を失ったうえ、人間関係が減る不安がストレスを呼ぶ。仕事と自分を一体化してきた人ほど陥りやすい」と説明します。うつ症状と認知症の初期症状が似ていたり、併存することもあり、専門医の受診が必要です。

ジョギングをする様子(イラスト)定年前にしておくといいことは——。大野教授は「地域の仲間や家族関係、趣味、サークルなど一朝一夕にはできない人間関係を定年前から少しずつ築けば、滑り出しも順調になる」と言います。夫婦でも、ともに過ごす時間が急に増えると、ストレスを感じてしまいます。ですから、定年以前から2人で行動したり、体を動かす機会を増やすといいともいわれています。

運動不足も要注意です。ウオーキング、ジョギング、水泳——。酸素を取り込むそんな有酸素運動を大野教授はすすめています。生活のリズムを保つためにも日中に体を動かすことは有効です。「定年後の人生は20〜30年ある。1〜2カ月で何とかしようと無理せず、時間軸を年単位でとらえる。周りもゆったり見守ることが大切です」とのことです。

会社に行きたくないなあ(イラスト)

また、昇進がうつの引き金になることもあります。

カウンセリングルーム「ヒューマンリエゾン」(東京都渋谷区)を主宰する臨床心理士の菊地章彦さんは指摘します。「仕事を一通り覚え、緊張が途切れたころが危険。企業では夏季休暇明けの7〜9月ごろに診断書の提出が増え、夏休みに入ったまま出社できないケースもある」。係長や主査など初めて指導的立場に就いた人たちが要注意だそうです。

まじめで責任感が強く、弱音を吐かない——。そんな人が昇進を引き金にストレスをためます。症状は▽不眠▽欠勤が増える▽集中力や食欲の減退▽仕事の能率悪化??などで、早期発見がカギになります。周りが異変に気づき、本人や上司らが早めに産業医などに相談するのが望ましいです。「会社に復帰しても一気に回復するのでなく、好不調の波を繰り返しながら調子を上げていくケースが多い。周囲は長い目で見守ってあげて」と菊地さんは話しています。

毎日新聞生活家庭部

Copyright© 2003 - 2008 Kyoei Fire&Marine Insurance Co.,Ltd. All rights reserved
※掲載されている情報は2008年時点の情報であり、最新の情報と異なる場合があります。