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ハチ不足に農家「困った」
日本国内のミツバチが不足しています。ミツバチは「はちみつをつくる昆虫」とのイメージがありますが、イチゴ、スイカ、メロンなどの花粉交配に欠かせません。ミツバチが不足すれば、果物や野菜の実りに影響し、品不足の心配も出てきました。日本の食卓を脅かしかねないミツバチの現状はどうなっているのでしょうか。

蜂の巣、くだもの、ミツバチのイメージイラスト「ミツバチがこれほど品薄になるとは思ってもみなかった」

交配用ミツバチを農家に供給する養蜂場の社長はミツバチの巣箱を前に嘆きます。

例年なら、これから春にかけて、県内外の養蜂業者からミツバチを仕入れ、交配用ミツバチとして出荷する作業が忙しくなります。ところが、昨年からミツバチの仕入れが難しくなり、今年は例年の半分も出荷できないのです。

「このままだと事業が成り立たない」

ミツバチはイチゴ、スイカ、メロン、ナス、ナシ、サクランボ、ブルーベリーなどの花粉交配に欠かせません。このため果樹農家は交配ミツバチの供給業者や養蜂家からミツバチを買い、畑やハウスに放っています。

ミツバチが不足する背景には、養蜂業者が飼っているミツバチの激減があります。全国の農協などにミツバチを供給する最大手の会社は「業界が消滅するほどだ」と危機感を募らせます。

実は、ミツバチが大量に不足する事態は米国で3年前から起きています。特に2006年秋〜2007年春、全米の3割前後のミツバチが短期間に消失(逃去)し、蜂群崩壊症候群(CCD)として注目されました。昨年も東部の州で大量の消失が見られました。

日本国内でも、ここ数年、岩手や北海道などでミツバチが大量に死んだり、消えたりする現象が起きています。

ミツバチが巣箱からいなくなり、困っている様子(イラスト)日本養蜂はちみつ協会(約2500業者加盟)に加盟する養蜂家へのアンケート結果(回収率約36%)があります。農研機構畜産草地研究所(茨城県つくば市)みつばちグループの研究員や専門家が昨年8〜12月に実施しました。

それによると、4人に1人が「大量のミツバチが知らぬ間にいなくなった経験がある」と答えました。消失の規模は大小さまざまですが、専門家は「予想より多くの(養蜂)業者が大量逃去を経験していると感じた」と話しています。

米国の現状も視察した専門家は「小規模な消失は昔からあったが、米国のような大量崩壊は異常だ。日本でも状況を調べていく必要がある」と指摘します。

日本のミツバチは小規模飼育が多いので、長距離を移動する頻度も少なく、米国と比べ、ミツバチの生死にかかわるストレス度は少ないとされています。はちみつ協会によると、はちみつは輸入がほとんどで国内自給率は6%前後ですが、いまのところ「国産はちみつの生産に支障が出るほどの状況ではない」そうです。

ところが交配用はそうはいきません。「今後、ナス、メロン、スイカなどの交配でミツバチ確保が困難になることも考えられる」(農林水産省)。4月からスイカの交配時期を迎えるいんば農協(千葉県佐倉市)は「必死にミツバチを集めている」と言います。

手作業の受粉すら考えなければならない状況で、栃木県のイチゴ、メロン、ナシなどの産地でも不安の声が上がっています。

毎日新聞生活家庭部

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