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口腔がん、発見のポイント
東京都世田谷区の無職男性(66)は4年前から舌がひりひりするのを感じました。総合病院での診断結果は「口内炎で経過観察」。しかし、舌がんを心配し、耳鼻科や歯科の通院を繰り返しました。しかし「進行して切除が必要になったら来てください」とあしらわれました。症状は緩和せず今年2月、大学病院の口腔(こうくう)外科を受診。粘膜の変化が何年も続く前がん病変「白板(はくばん)症」で、放置すれば舌がんになるところだったのです。抗がん剤を飲み始め、3月下旬には、病変部を摘出する手術を受けました。

居酒屋で食事中に舌がひりひりするのを感じている様子(イラスト)この男性は「4年間、適切な処置をしてもらえなかった。同じような目に遭う人がいるのではないか。医師は正しく診断できるようになってほしい」と訴えています。

舌がんは毎年約3200人が発症していると推定されています。がん患者の1〜2%を占める口腔がんの一種です。口腔がんには、他にも▽舌と歯ぐきの間にできるがん(口腔底がん)▽歯ぐきのがん(歯肉がん)▽ほおの内側の粘膜にできるがん(頬(きょう)粘膜がん)▽口の天井の部分にできるがん(硬口蓋(こうこうがい)がん)——などがあり、合計で毎年約8000人が発症しています。半数が亡くなり、最近10年間で患者数が倍増しました。

早期発見すれば、食べることなどの機能をほとんど失うことはありませんが、約7割が進行がんとして発見されています。歯肉では6%、頬粘膜で8%、最も発見しやすい舌でも23%しか早期発見されないのが現状です。その背景には歯科や耳鼻科など専門が細分化し、がんの前段階の症状を見落とすケースが多いためと言われています。

鏡で舌を確認する様子(イラスト)ある大病院の教授(口腔外科)によると、口腔がんは早期であれば90%以上治すことができます。昭和のスーパースター、石原裕次郎さんは44歳の時に舌がんを除去した後も俳優、歌手として活躍しました。

この教授は「口は話す、食べる、飲むなど生活する上で大切な役割を果たしている。早期発見すれば、これらの働きもほとんど障害を受けない。早期と進行後では天と地ほどの開きがある」と話しています。

口の中は見ることができ、感覚も鋭敏です。自分で前がん病変やがんを見つけることもできます。

まず、口内炎のような症状が長引けば要注意です。通常の口内炎なら塗り薬や殺菌治療で数日から2週間程度で治るからです。また、口内炎と外見上に違いが見られる場合もあります。口の中に、▽しこりや腫れがある▽痛みがある▽赤い斑点(紅板症)や白い斑点(白板症)がある▽場所が分からないが出血がある▽歯のぐらつきが3週間以上続く——などの症状があれば注意する必要があります。

毎日新聞生活家庭部

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