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医療トラブルを早期解決する医療ADR
弁護士らが仲裁役になり、話し合いで医療機関との紛争を解決する「医療ADR」(裁判外紛争解決)が、裁判より時間と費用がかからないことから、成果を上げています。

病院を前にして呆然とする様子(イラスト)愛知県弁護士会紛争解決センター(名古屋市)では98年から昨年までに219件の申し立てを審理し、97件で和解を成立させました。同センターでは原則として、弁護士1人が斡旋(あっせん)・仲裁人として患者と医療機関側の言い分を聞き、賠償額の提示まで行います。昨年1年間では37件のうち15件で金銭的な和解が成立しました。10件は決裂しましたが、5件は患者が取り下げ、残る7件は審理中です。審理回数は平均3回、審理期間も平均4カ月と短く、和解額の平均は147万円でした。

白内障手術を受けた男性は麻酔の投薬ミスで視力低下の後遺症が残り、同センターに申し立てました。患者側は2700万円の損害賠償を求め、6回の話し合いで医療機関側が950万円を支払うことで和解が成立しました。このほか、椎間板(ついかんばん)ヘルニアの手術で右足がまひしたケースでは、病院側が1700万円を支払った例もあります。

申し立ては当事者本人でも弁護士でもどちらでもよく、申立手数料は1万500円です。斡旋・仲裁人の経験をもつ弁護士は「通常の裁判だと審理に2年前後はかかり、双方の負担は大きい。ADRだと弁護士が過去の判例などを考慮して賠償額を提示できるので、より解決が早い」とメリットを説明しています。

弁護士に相談する様子(イラスト)東京でも三つの弁護士会が07年9月から医療ADRを始めました。3人の弁護士が仲裁役となりますが、うち2人は過去に患者側と医療機関側の代理人の経歴をもつ人が任命されます。申し立て手数料は1万5000円です。これまでに72件の申し立てがあり、19件で和解が成立しました。訴訟と違い、過失の有無や因果関係を調べたりはしませんが、病院側に謝罪を求めたり、詳細な説明を求めたりするケースもあります。患者側の弁護活動が豊富な弁護士は「経験豊富な3人の弁護士が間に入るので、問題点の整理がきっちりとでき、冷静な話し合いができる」と3人体制の長所を強調しています。

千葉県では愛知や東京とも異なる第三者機関の医療紛争相談センターが4月にスタートしました。医師、弁護士、学識経験者の3人が仲裁役となるのが特徴です。申立手数料は患者側2万1000円、医療機関側4万2000円で、すでに100件近い相談が来ています。

毎日新聞生活家庭部

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