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増える「非定型うつ病」
外資系証券会社で働いていた女性(31)は入社2年後、出勤前になると体が重く、休みがちになりました。きっかけは上司に言われた「最近、仕事が遅いぞ」の一言でした。友人や同僚との飲み会は楽しいのですが、上司の評価が気になり、誰かのささいな一言で激しく落ち込んでしまう。寝不足になり、東京都千代田区内のクリニックを訪れました。クリニックの医師は「典型的な非定型うつ病」と診断しました。ここ数年、同じ症状で受診する20〜30代の女性が増えているといいます。

友達とお酒を波ながら「めっちゃ楽しい!!」(イラスト)うつ病は大きく(1)メランコリー型(2)非定型(3)その他(季節性、産後など)に分類できます。うつ病と聞いて一般的に浮かぶタイプは、食欲不振や不眠などの症状が著しいメランコリー型です。対照的に、非定型は過眠や過食が多く、ささいなことで急に落ち込みますが、自分の好きな事では気分が良いなど、感情の起伏が大きいのが特徴です。

メランコリー型が世界的な診断基準に明記されたのは94年です。患者の特徴として「幼少期に満足できる愛情を受けられず、自信がなく不安が強いタイプと、親の過保護の下でストレスなく育ち、社会に出て落差につまずくタイプが多い」といいます。近年目立ってきた理由について専門医は「現代はIT(情報技術)が浸透し、顔を合わせたコミュニケーションが少なくなっている。こうした社会の影響も及んでいるのではないか」と分析しています。

でも一人の時に、仮眠・過食・体が重い・・・と悩む様子(イラスト)冒頭の女性は抗うつ薬や感情調整薬を服用し、何事も極端に否定的にとらえる考え方を改めるような「認知行動療法」を行いました。転職を繰り返しながら昨年末には国内の証券会社に就職し、今は通院しながら仕事を続けています。診察した医師は「非定型は多少つらくても頑張って仕事に行き、規則正しい生活を送ることが重要。周囲には優しい言葉で接してほしいが、本人が悪い場合はきちんと指摘し、時には励ますことも大事です」と話しています。

ジョギング・ヨガをする様子(イラスト)非定型の人は、対人関係で拒絶されたと感じると、過敏に反応してしまいがちです。例えば上司に「この文章を少し直して」と注意されただけでひどく落ち込み、社会生活に支障をきたしてしまいます。夕方以降に激しい不安や孤独を感じ、涙が止まらなくなったり、リストカットなどの行動に出る人も多いようです。この「不安・抑うつ発作」の時に、過去に傷ついた経験などがよみがえることもあります。

専門医が非定型うつ病の人とそうでない人に同じ作業を行ってもらい、思考の中心となる前頭葉の働きを調べたところ、非定型の人は血流があまり増えないことが分かりました。このため治療法は「前頭葉の働きを高めることが有効で、認知行動療法に加え、運動や腹式呼吸をする瞑想なども効果的」とされています。

毎日新聞生活報道部

 

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