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水道水を飲もう「水エコ活動」
使い捨てのペットボトル水ではなく、安くて安全な水道水を飲もうという「水エコ運動」が広がり始めました。水道水を再評価する動きです。

名古屋市上下水道局の職場には、冷蔵庫や机にカラフェと呼ばれるガラス製の水差しが置かれています。蛍光管をリサイクルした再生ガラスで、中には透明な水道水がたっぷり入っています。職員はのどが渇くと、水差しからコップに水道水を注いでおいしそうに飲んでいます。

名古屋市は昨年5月、市庁舎内では原則として水道水を飲むことを決めました。会議でもボトル水を出しません。いわば「脱ペットボトル水」宣言です。

水道水を飲む様子(イラスト)市販のボトル水は工場で詰めてトラックで運んだり、遠く海外から輸入するなど、製造と輸送に多大なエネルギーが費やされています。同局の試算によると、市販のボトル水の価格は水道水の1000倍前後。さらにペットボトル水の加工、運搬、焼却過程などで排出される二酸化炭素の量は、水道水の浄水過程などで生じる量に比べて約1600倍に上ります。

水質のよい木曽川から取水した名古屋の水道水は、かつて国の水コンテストで青森に次いで2位となった名水です。水道局幹部「蛇口をひねるだけでおいしい水道水が飲めることを、市民にも知ってほしい」と話しています。

他の自治体でも、水道水を飲んでもらおうという活動が活発になっています。日本水道協会によると、約70の自治体がボトルに詰めて販売し、水道水の良さをアピールしています。

地下水100%の水道水を供給する熊本市は「安全のための塩素処理を除けば、熊本の水道水は市販のボトル水と同じレベルの水」とPRしています。山口県下関市も、ゆっくりと微生物の力で浄水した水道水(緩速ろ過処理水)を「天然の水」とのうたい文句で販売しています。

以前はかび臭などで水道水のイメージが悪かった大阪市でも、2年前から塩素を除去した水道水を「ほんまや」という名のボトル水(500ミリリットル100円)で販売したところ、これまでに43万本が売れるほどの人気です。

海外のカフェで水道水を提供している様子(イラスト)水道水への不信感が高まったのは、80年代後半から90年代のことです。塩素処理で発生する発がん性物質やかび臭などが問題となりました。代わってボトル水の販売量は伸び、07年の生産・輸入量は20年前の約30倍の約250万キロリットル(日本ミネラルウォーター協会調べ)にまで増えました。

その一方、大都市の自治体は、かび臭などを除去するオゾン殺菌や生物活性炭処理などの高度浄水処理技術を取り入れ、おいしい水作りに努めてきました。ミツカン水の文化センター(東京)が今年6月、東京、大阪、名古屋圏の620人を対象に実施した水道水の意識調査では、水道水の評価は10点満点で平均7.5点。95年(5.7点)の調査以来、最も高くなりました。

世界約30カ国を歩き「世界が水を奪い合う日・日本が水を奪われる日」(PHP研究所)を著した水問題ジャーナリストの橋本淳司さんは「日本の水道水のおいしさ、安全性は世界でもトップクラスで、水道料金も安い」と話しています。

脱ペットボトル水の動きは、世界中で始まっています。米国サンフランシスコ市は2年前、ボトル水を公費で購入することをやめました。ニューヨーク市やソルトレークシティーは市民に水道水を飲むよう呼びかけています。シカゴ市は2年前からボトル水に税金をかけ、豪州ではボトル水の販売を禁止する自治体も現れました。

環境への負荷と値段の両面からみて、水道水をもっと高く評価してもよい時代に入ったといえそうです。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2009年10月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。