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こんにゃくゼリーの窒息事故を防ぐには
ミニカップ入りこんにゃくゼリーによる窒息死が相次いだことから、国の食品安全委員会が窒息しやすい食品の危険性を調べました。1月に公表された報告書は食品ごとの窒息リスクを分析しています。この機会に、リスクの高い食べ物との付き合い方を知っておきたいものです。

パクッ こんにゃくゼリィを食べる子供(イラスト)統計によると、食べ物をのどに詰まらせ死亡した人は06年に4407人。うち3729人(約85%)が65歳以上の高齢者で、交通事故の年間死者数にほぼ匹敵しています。また、5歳未満の乳幼児の死者数は34人で、高齢者ほど多くありませんが、不慮の事故による死者数の約1割を占め、大半が家庭で起きています。

食品安全委員会は、それぞれの食品を一口分、1億回食べた場合にどのくらい窒息死事故が起きるかを数値化しました。算定には、救命救急センターに搬送され死亡した人の食品別統計や、国の人口動態統計の死因別データが使われ、一般の人が通常食べる回数も考慮しました。

その結果、リスクの最も高い「餅」は7回前後で、「こんにゃくゼリー」は3〜6回、「アメ類」は1〜3回、「パン」は0.1〜0.3回で上位になりました。こんにゃくゼリーは救急搬送統計がないため、データなどを基に推計し、危険性を「アメ類と同程度ではないか」と結論づけました。

また、ピーナツは救急搬送統計では死亡例が少なかったため数値化の対象外とされましたが、重軽症の救急症例では気管などに入った異物の半数以上を占めています。気管や気管支に入ると、食べた時は気づかずに後で呼吸困難を起こすこともあり、注意が必要です。

子供の背中をたたく様子(イラスト)高齢者や小児は、食べる能力が弱くなったり未発達なことが窒息事故の大きな要因です。報告書では①一口の量を多くせず、食物を口の前の方に入れる②よくかみ、唾液と混ぜる③しゃべりながら食べたり急に上を向いたりせず、食べることに集中する――のほか、食品の特性や安全な食べ方を知ることが大切だと指摘しています。育児や介護をする人たちは、自分が食べた時の感覚と、子どもやお年寄りの感覚とは違うということに気を付けたいものです。

のどに詰まりやすい食品の特性をまとめてみると。

<餅>
口に入れた直後は温度が50〜60度で軟らかく伸びやすいが、かむうちに40度程度まで下がって硬くなり、口内に付着しやすくなります。唾液とよく混ざらないと、のどに詰まりやすいため、口内やのどの表面が乾燥しがちな高齢者は特に注意が必要です。

<ミニカップ入りこんにゃくゼリー>
普通のゼリーより硬く、小児の窒息死では10件中4件が前歯の生え替わる6〜7歳だったことから、かみ切りにくい性質が一因とされました。上を向いたり吸い込むように食べると、直接のどの奥まで入り、気道をふさぎやすくなります。水分の少ない部位に付着するとはがれにくくなり、せきをしても吐き出しにくい。冷やすとさらに硬くなります。

<アメ>
口の中でしゃぶっている間に唾液と混ざって滑りやすくなります。食べる能力が未発達な幼児は口の中にとどめておくのが難しく、するっとのどに入ってしまいやすい。

<パン>
詰め込むと硬くなり、唾液と混ざるとのどに付着しやすくなります。窒息は高齢者に多く、重症となる割合が高い。中学生でも給食に出たパンの早食い競争をして死亡した例があります。

もしもし 救急車を呼ぶ様子(イラスト)もし詰まったら? 消防庁救急企画室は「慌ててはいけない」と指摘しています。98年の調査では、食品をのどに詰まらせ救急搬送された事例のうち、居合わせた家族らが取り出そうとした場合の生存率は76%。試みなかった場合(50%)より高くなっています。応急処置には「せきを促す」「手や指でぬぐって取り除く」「背中を強くたたく」などの方法がありますが、異物が口から見えない場合に指などを入れると逆に押し込んで窒息させてしまう危険もあります。「応急処置を試み、119番して指示を受けてほしい」と呼び掛けています。

ミニカップ入りこんにゃくゼリーを巡っては、消費者庁も近く食品SOSプロジェクトチームを設け、形状や表示を法規制すべきかなど、対応を検討する方針です。

08年末以降、一部メーカーがこんにゃく成分を減らした改良タイプを発売していますが、国民生活センターによると、普通のゼラチンゼリーと比べると依然として硬く、消費者団体からは規制を求める声が上がっています。

業界は事故例が小学生以下や高齢者に集中していることから、商品の包装に「小さなお子様や高齢者の方は絶対にたべないでください」の文字を大きく表示し、カップにも警告マークを入れました。一部の小売店では子どもの手の届きにくい商品棚やお菓子コーナー以外で販売しています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2010年2月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。