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時差ぼけを予防するには
「日本の真夜中だし、眠くて眠くてしょうがない」。出張で欧州滞在中の2月中旬、新聞記者の男性(38)は夕方になると耐え切れない睡魔に連日襲われました。そして8時間の時差に慣れたころに帰国したため、しばらくは眠気とだるさの「時差ぼけ」に悩まされました。

あぁ眠い・・・飛行場にて(イラスト)

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の研究員は「海外旅行などで5時間以上の時差がある地域に短時間で移動すると、時差ぼけが起こりやすくなる」と指摘しています。日本からはハワイ以遠の地域が該当し、欧米への旅行ではまず避けられません。一方、ゆっくりと移動する船旅では時差ぼけは起きにくくなります。

人間の生活は、約24時間周期の「生体リズム」の影響下にあります。代表的なのが睡眠や目覚め、心拍数、血圧、体温など自律神経が支配しているリズムで、時差が大きいと現地のリズムにはすぐに同調できず、日本の時間帯で動こうとしてしまいます。これが時差ぼけといわれる睡眠障害や自律神経障害が起きる仕組みです。

飛行機内で仮眠している様子(イラスト)時差ぼけの軽い症状では、単に眠い程度で済むこともありますが、人によっては頭痛や食欲不振、胃腸病などの症状が同時に起きることもあり、大切な仕事や楽しい観光が台無しになることもあります。

時差ぼけへの抜本的な対策はありませんが、症状を軽くする対策はあります。基本は「西向きは遅らせ、東向きは前倒し」です。無理をせずに余裕のある旅行プランを立てることが肝心です。

旅行前はまず、十分に睡眠をとって万全の体調で臨みます。その上で、北米など東向きへの旅行では生活パターンを出発の約1週間前から、1時間でもいいから前倒ししておきます。逆に欧州など西向きなら生活時間を後ろに遅らせます。これでリズムが現地時間に同調しやすくなります。そして何より、到着日の夜に十分な睡眠を取れるような計画にすることが大切です。持病で投薬治療中ならば、現地で薬を飲む時間について主治医と相談しておきましょう。

飛行機内でコーヒーを飲んでいる様子(イラスト)機内では、なるべく現地の時間のリズムに合わせることが大切です。現地が夜の時間なら少しでも仮眠をとるように心掛け、朝ならコーヒーなどカフェインをとってみるのもいい方法です。仮眠にはアイマスクや耳栓も役に立ちます。また、機内は乾燥しているので、水分を十分に取ることで体調を整えることも大切です。

米国や欧州などへの旅行では、日本とは昼夜逆転した早朝に到着することもあります。いったんホテルに入っても、眠るのを我慢して、ホテルの周辺を散歩したりして、太陽を浴びるのもいい方法です。食事は必ずとり、特に朝食は明るい場所でとることが、生体リズムを整えるのに有効です。団体旅行では、現地でバスを利用するのなら、日本の真夜中にあたる時間帯に仮眠をとるのも効果的です。そして、帰国後の時差ぼけを防いだり、軽減するためにも、帰国前には日本の時間に合わせて行動を始めることが大切です。

アイスランドの火山噴火では、欧州の空の便が乱れ、日本人旅行客も現地に足止めになりました。時差ボケだけでなく、こうした予期せぬトラブルに備え、日本旅行医学会では、書き込み式の「自己記入式 安全カルテ 海外旅行を安全に楽しむためのもうひとつのパスポート」(成人用・税込み1500円)を販売しています。一般的な旅行の注意が記載されているほか、持病について自分や主治医が書き込めるスペースがあり、海外で緊急時に医師に提示すれば、適切な診察を受けることができます。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2010年5月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。