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葬儀費用の一括前払いトラブルが増加
自分のための葬儀費用を一括前払いするという、新たな契約形態を巡るトラブルが増えています。千葉県内では、事前に契約解除しても、返金額が大幅に少なかったという苦情が相次ぎ、県の消費者行政審議会が「消費者被害の拡大が予想される」として注意を呼びかけました。

ヒドイ 半分しか返ってこない! 憤る契約者の様子(イラスト)問題視されているのは、生前の葬儀契約を一括前払いか、2回に分割して支払う契約です。千葉県では昨秋、葬儀業者に一括前払いした消費者から「解約を申し込んだら半分しか返金がない。加入時には説明がなかった」という相談が相次ぎました。消費者行政審議会が調べたところ、県内の消費生活センターに06年度から約4年間で366件の相談が寄せられ、「解約手数料」関連が162件と最多でした。契約者は女性が多く、60、70代が目立ちました。契約額は10万円以上50万円未満が最多でした。

一方、冠婚葬祭費用を長期にわたって積み立てる従来の「互助会」組織は開業するために経済産業省の許可が必要で、契約者保護を目的にした割賦販売法の規制を受けています。業者には契約約款の審査や、前払いした料金を半額保全する義務などがあります。割賦販売法は3回以上の分割払いの業者が対象で、一括払いか2回分割の支払いは対象外のため、規制逃れを目的としている可能性もあります。

千葉の例では、相談者は互助会の会員で、自宅を訪れた別の葬儀業者の勧誘を受けて、互助会を解約し、解約金で一括前払いしました。その後、解約を申し出ると「半額しか返金できない」と言われました。解約の返金が、互助会と同程度でできると思っていたところ、事業者は「規約に書いてある」と取り合わなかったようです。

家族と一緒に契約する様子(イラスト)県の消費者行政審議会は一括前払い契約の問題点として、(1)契約実行(葬儀)に必要な資金の保全や、廃業した場合の対応に法的な規制がない(2)サービス内容を明記した契約書を渡していない事業者がある(3)中途解約で契約者に過大な負担を負わせ、消費者契約法の不当条項に当たる恐れがある——と指摘しています。

千葉県の県民生活課は「契約後に転居や家族構成が変わったり、望む葬儀のあり方が変わることもありうる。家族とよく相談し、同意した上で契約してほしい」とアドバイスしています。前払い生前契約は特定商取引法のクーリングオフの対象で、契約書面を受け取った日から8日間以内なら書面で、申し込みの撤回や契約の解除ができます。

一方、神戸市のNPO法人「ひょうご消費者ネット」は、関西の冠婚葬祭業者が、契約解約時に一括前払いした料金の半額しか返金しない契約条項を持っていたため、改善を申し入れ、改善されました。

同ネットは昨年9月、「割賦販売法の規制を免れることは想定できる。法規制がないまま放置することは許されない」として、消費者庁や経産省に業者への規制を求める要請書を提出しました。千葉県も今年、両省庁に割賦販売法と同程度の効果を持つ法整備と実態調査を求めています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2010年8月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。