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ゴキブリの知られざる生態
「ゴキブリ亭主」に「ゴキブリ野郎」といった嫌われ者のイメージが定着しているゴキブリですが、素顔は意外と知られていません。東京都目黒区の目黒寄生虫館で9月26日まで開催中の特別展「知られざるゴキブリの世界」には、国内外のゴキブリ標本140体を並べたガラスケースや解説パネルが並んでいます。

ゴキブリッ 驚く親子の様子(イラスト)ゴキブリは世界に5000種以上生息しています。日本にいるのは60種で、屋内に出没するのはワモンゴキブリなど約10種です。「地球上に恐竜が栄えたのが2億年前。ゴキブリは3億年以上前に出現し、姿を変えずに生き続けている」との解説に、まさに生きた化石だと実感しました。

ケースには、全長4ミリのホラアナゴキブリや約10センチのマダガスカルゴキブリ、重量30グラムのヨロイモグラゴキブリなどさまざまの標本が並び、インドで採取された美しい水玉模様のドミノローチが目を引きました。

そもそも、なぜゴキブリと呼ばれるのでしょうか。昆虫学者の梅谷献二さん(79)が教えてくれました。「食器をなめる習性に由来して、江戸時代は『ゴキカブリ(御器噛り)』と呼ばれていました。しかし明治時代、ある動物学の教科書で『ゴキブリ』と誤記され、それが定着したのです」

日本の屋内にすむゴキブリ類のうち、在来種はヤマトゴキブリ1種だけです。他は江戸中期以降、交通機関の発達に伴い海外から来て、暖房の普及ですみ着いた外来種です。

短期間で爆発的に増える印象がありますが「卵から成虫まで、最短のチャバネゴキブリで約3カ月、大型種だと2年もかかります」と梅谷さん。寿命はチャバネゴキブリが10カ月、大型種は1年以上で、この間、産卵を繰り返します。夜行性で、日中は暖かく狭い場所に集団で潜んでいます。

梅谷さんによると、野口雨情の童謡「黄金虫」はゴキブリの歌だそうです。雨情が生まれた茨城県北部ではゴキブリをコガネムシと呼び、たくさんすみ着くと裕福になるとの伝説も残っています。

ゴキブリを怖がらない子供の様子(イラスト)

そもそも日本では忌み嫌われていますが、英国では家の守護神として大切に扱い、引っ越し時に数匹連れて行く地方もあるといいます。タイや中国ではフライにして食べる習慣もあります。薬にも重用され、血管拡張や神経痛を抑えるため、せんじて飲む(中国)▽風邪の時にゴキブリ酒を飲む(ペルー)▽黒焼きを食べて寝小便を止める。すりつぶして霜焼けの軟こうに使う(1900年代初頭までの日本)——などの事例もあります。

梅谷さんは「ゴキブリは不潔と嫌われるが、洗わない手と大差ない。なのにこれほど目の敵にするのは、日本ぐらい。3億年以上の進化の歴史をもつ生物界の大先輩に、日本人はもう少し寛容になれないものでしょうか」と残念がっています。

米国ではオオゴキブリをペットで飼う人もいるそうです。日本にもいました。千葉県の男性会社員(32)は自室でオオゴキブリなど5〜6種を計数十匹飼っています。生き物が好きで、オオゴキブリの飼育法を紹介した本を読み、大学の研究室で飼っていたゴキブリを持ち帰ったといいます。「犬猫を飼う感覚とは違うけれど、成長し、繁殖して家族を増やしたり、死を見届けたり、一生を共有できる点は他のペットと同じですね」と話しています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2010年8月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。