お役立ち情報/情報ものしり帖

大学生の8人に1人が中退
大学や専門学校など高等教育機関からの中退が深刻化しています。NPO法人が調べたところ、大学生の8人に1人が中退していることが分かりました。人間関係のつまずきなどから卒業資格を得られなくなり、社会に出て不安定雇用を余儀なくされる若者も後を絶ちません。

調査をしたのはニート・フリーターの若者を支援する「NEWVERY」(ニューベリー、東京都豊島区)。中退者101人にインタビューし、今年6月「中退白書2010」にまとめました。

大学の食堂で一人寂しく食事する様子(イラスト)

「あのままだったら、ずっと家に引きこもって命も絶っていたかもしれない」。インタビューを受けた千葉県の会社員Aさん(24)はそう振り返ります。Aさんは高校卒業後、東京都内の私立大の工学部に進みました。浪人していたので合格できることを最優先して志望校を決めたため、学校の内容を詳しく調べなかったといいます。

入学直後「雰囲気になじめない」と気付きました。自分は活発で外向的でしたが、おとなしいタイプの学生ばかりで、サークルに入っても友達はできませんでした。授業も難しくてついていけず、キャンパスからは足が遠のきました。

誰かに相談したり先を考えることもないまま、その年の7月に退学してしまいました。アルバイトもやめて部屋にこもり、誰とも口をきかない日が続くうちに、自殺を考えるようになったといいます。

「誰かが本気になって止めてくれたら、大学をやめずに済んだかもしれない」とAさんは振り返っています。経験を基に「ただ『大学が合わないから』では、やめてから苦労する。まず誰かと話し、気持ちを整理しては」とアドバイスしています。

Aさんはその後「このままではだめになる」と一念発起し、今度は志望校を入念に調べたうえで別の私立大に合格しましたが、こうした例は多くありません。

労働政策研究・研修機構の06年の調査によると、中退直後、約6割の人が非正規雇用に、約15%が失業・無職状態にあります。さらに最終学歴が「高等教育中退」の人の約5割が中退直後から継続して非正規雇用となっています。また、日本生産性本部の07年の調査では、全国に63万人(厚生労働省推計)いるニートのうち3割が高校、大学などの中退者とされています。

何をすれば?何になりたい?何をしたい?思い悩む様子(イラスト)

国は高等教育機関全体の退学者数を把握していません。そこでニューベリーが文部科学省や日本私立学校振興・共済事業団などの調査を基に試算したところ、毎年約11万人が退学、大学では入学からの4年間で8人に1人が中退している計算になりました。

中退経験者101人へのアンケートでは、中退の3大理由は①学習意欲の喪失②人間関係③関心の移行でした。一つの理由でやめる例は少なく「授業がつまらない」「友人がいない」などが複数重なった退学者が多いのが特徴です。経済的理由は1割程度で、奨学金制度などを知らずに退学している例もありました。

調査したニューベリーは「中退者の増加は納税できない人や生活保護受給者を増やすことになりかねず、本人にも社会にも大きなリスクにつながる」と指摘しています。同時に学校側にも「授業や学校生活の充実と、相談機能の整備を進めるべきだ」と注文しています。

毎日新聞生活報道部

Copyright© 2003 - 2010 Kyoei Fire&Marine Insurance Co.,Ltd. All rights reserved
※掲載されている情報は2010年9月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。