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増える帯状疱疹
帯状疱疹は日本人の6〜7人に1人がかかると言われています。最近のデータによると、夏場の患者が多く、高齢化とともに発症率は増加しています。60代以上の発症者の4人に1人は発疹が治っても、痛みが長い期間残る「帯状疱疹後神経痛」になるといわれ、これを防ぐためにも、早期治療が大切です。

痛っ 突然の激痛に襲われる様子(イラスト)

東京都杉並区に住む女子高校生(16)は昨年9月の朝、突然の激痛で起き上がれなくなりました。肌の表面に異常は見られないものの、背中から腹部にかけて斜めに痛みが走り、はうようにして近くの内科に駆け込みました。痛み止めなどを飲んだが翌日も改善せず、もう一度受診したところ、帯状疱疹が疑われ、抗ウイルス薬を処方されました。3日間学校を休んだものの、1週間ほどで痛みは消失しました。母親(49)は「発疹などが出なかったから、最初は仮病かなと思った。入学してから部活動に忙しく、毎日重い楽器を背負って通学していたから疲れが出たのかも」と振り返っています。

帯状疱疹は子供がかかる「水ぼうそう」と同じ「水痘―帯状疱疹ウイルス」によって引き起こされる感染症の一種です。このウイルスに初感染すると水ぼうそうになりますが、このときに増殖したウイルスが、神経の根本である「神経節」に入り込み潜伏します。何年、何十年か後に、何かのきっかけでウイルスが再び活性化し暴れ出すと、帯状疱疹になります。

東京慈恵会医科大青戸病院の皮膚科教授は「最近の研究で、水痘—帯状疱疹ウイルスを監視している『メモリーT細胞』の減少によって発症することが分かってきた」と説明しています。このT細胞が減少する要因として、過労やストレス、加齢などが挙げられ、がんや糖尿病など、免疫力が低下する病気の人もなりやすいようです。このため、帯状疱疹の重症患者からは、エイズウイルス(HIV)感染など免疫力を低下させた別の病気が見つかる場合もあります。

帯状疱疹は高齢者に多い病気です。宮崎県皮膚科医会などが13年間で約6万4000人の患者を調べた大規模調査(宮崎スタディ)によると、09年の帯状疱疹の発症率は97年に比べて33%も増加しました。結果をまとめた皮膚科医は「県内の人口は13年間で約4万人減っているのに、高齢化とともに患者数は増えている。特に60代以上の女性の増加が顕著だ」と指摘しています。

子どもたちに囲まれ追加免疫効果が得られる保育士の様子(イラスト)

幼児期に水ぼうそうにかかって増えたT細胞が減少してくる10〜20代も、患者が増える年代です。一方、水ぼうそうの子供に接触することで、その周りの人たちは「追加免疫効果」が得られるため、子育て世代や保育士といった職業は発症率が低いことで知られています。

帯状疱疹の症状は、最初に刺すような痛みや皮膚にヒリヒリするような知覚異常が数日〜1週間ぐらい続きます。やがて痛いところに赤いブツブツ(発疹)が現れ、水ぶくれも多発します。水ぼうそうは全身に広がりますが、帯状疱疹は知覚神経に沿って症状が表れ、背中や腹、顔や首などに出やすいのが特徴です。

痛みを感じるのはウイルスが神経を刺激して炎症を起こすためです。夜も眠れないほどの激痛を感じる人もいれば、かゆみ程度の人もいて、痛みの度合はさまざまです。

皮膚の発疹や水ぶくれはかさぶたになり、いずれ痛みも消えますが、皮膚症状が治っても一部には痛みが続く場合があります。これは帯状疱疹後神経痛と呼ばれ、数年続く人もいます。専門医は「高齢者に多くみられ、帯状疱疹の症状が重い人ほどなりやすい」と話しています。帯状疱疹の早期に炎症や痛みを取る治療が大切で、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬のほか、痛みを取り除く薬が使われます。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2010年9月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。