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家庭で手軽に介護食
かむ力やのみ込む力が弱くなった人でも食べやすい「介護食品」が家庭に普及してきました。以前は病院や施設などで提供する業務用が中心でしたが、スーパーなどで販売される一般向けのメニューが広がり、在宅介護の増加に伴い需要を伸ばしています。

大手スーパー・イオンが運営するジャスコマリンピア店(千葉市美浜区)。介護用品の脇に、高齢者向けのレトルト食品などが並んでいます。同社は高齢者が多い地域の店舗から売り場を設け、現在は傘下総合スーパーの約8割で販売しています。広報担当は「リピーターが多く、高齢化に合わせ品ぞろえを増やしたい」と話しています。

きんぴらごぼう風・親子丼風・チキンライス風・・・様々な介護食(イラスト)

店頭では、98年にいち早く市販を始めたキユーピー(東京都渋谷区)の「やさしい献立」シリーズが目立ちます。肉じゃがやハンバーグなど約40品目があり、1食150〜200円で、毎年、売り上げを前年比約1割伸ばしています。今の高齢世代が幼いころごちそうだったチキンライスなどの洋食も加え、担当課長は「『介護食』という言葉に抵抗感のある人もいるので、要介護状態になる前から食べ続けられる商品を心掛けた」と説明しています。人気の「おじや親子丼風」を食べてみたところ、味は親子丼そのもので、口の中で自然とほぐれました。

マルハニチロ食品(同千代田区)は、ムース状のハンバーグやきんぴらごぼうなど20品目の冷凍食品を4月からインターネット販売しています。目玉は、高齢者も好きな揚げ物です。ポークカツは肉と衣、それぞれの風味がしっかりと感じられました。

懐かしい・・・味(イラスト)見た目にもこだわる商品が多くなっています。在宅介護をする家庭では料理を細かく刻んだりミキサーにかけることもありますが、見た目も味も受け付けない高齢者は少なくありません。同社の販売促進課長は、「刻み食を拒んでいた人が『これならいい』と食べてくれた」と話しています。

明治乳業や和光堂、ホリカフーズなどもレトルトを販売しています。食材をムースにしてフランス料理風に盛り付ける「グランダペティー」、高級食材を扱う「デリカム」などのブランドも登場しました。

消費者が選びやすいよう、関連45社で作る日本介護食品協議会は食べやすさに配慮した商品を「ユニバーサルデザインフード(UDF)」と命名しています。基準を▽区分1=容易にかめる▽区分2=歯ぐきでつぶせる▽区分3=舌でつぶせる▽区分4=かまなくてよい——の4段階に定め、加盟社は商品に区分を明示しています。

最近は調理が大変な独居高齢者や、口やあごの病気の人、障害児などにも広がり、加盟社の09年出荷額は前年比18%増の約13億円に成長しました。同協議会は「食べる楽しみは生きる楽しみ。ベンチャー企業の参入も相次ぎ、業界でも注目度が高い」と話しています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2010年12月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。