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地域に増える「コミュニティカフェ」
全国に3万カ所あるともいわれるコミュニティカフェ。「茶の間」「たまり場」「縁側」「サロン」など呼び方はさまざまですが、地域の人に集う場を提供し、飲食を楽しみながら子育てママや高齢者の支援、町づくりに取り組んでいます。

さいたま市南区の住宅街にある「ヘルシーカフェのら」には、テーブル席の奥に16畳ほどの「広場」と呼ばれるスペースがあります。平日の午前中に訪ねると、ベビーマッサージ教室が開かれ、0歳児とお母さん8組が参加していました。赤ちゃんの体にオイルを付け、お母さんが優しくさすって母と子の触れ合いを深めます。その後は地元産の野菜たっぷりランチをみんなでいただき、参加費はランチ込みで2000円です。

コミュニティカフェの様子 その1(イラスト)

正午ごろには他の親子連れも食事に訪れ、広場はいっぱいになりました。生後5カ月の長女と初めて来た女性(34)は「日中は子どもと2人きりでしゃべらないので、気晴らしになりました。家に友達を呼ぶこともあるけれど、ここは料理も片づけも必要ない」と喜んでいました。4カ月の次男を連れてきた女性(40)も「子連れでは飲食店に入りにくい。子どもの泣き声を気にせず、おっぱいをあげながら世間話できるのがいい」と満足そうです。知り合ったばかりのお母さんたちのおしゃべりは2時過ぎまで続きました。

オープンは09年11月。きっかけは広場を担当する新井純子さん(52)が03年に雑誌に応募した懸賞論文でした。自分の子育て経験や、出産で仕事を辞めた女性たちの声を踏まえ「子育てを母親1人に任せきりにするのは無謀。いろんな世代が集えるコミュニティーレストランを」と提案しました。「食」は、おしゃべりや交流を生むのに欠かせないと考えました。

論文が入賞したことがきっかけで、当時子育て支援を担当していた県職員が実家の土地に建物を建ててくれることになりました。食育支援に取り組んでいた調理担当の三浦香代子さん(61)とともに合同会社を設立し、オープンにこぎつけました。広場は子育て支援に限らず、さまざまな団体などに貸し出し、音楽会やワークショップ、誕生日会にも使われています。

コミュニティカフェの様子 その2(イラスト)

群馬県太田市にある「よろずや余之助」は経済産業省のモデル事業認定を受け、空き店舗を改装して02年にスタートしました。店内の一部を寄り合いやサークル活動に無償で提供しているほか、住民を対象にした困りごと無料相談会を週2回開いています。

運営するNPO法人は、代表はじめ理事7人が地元県立高校の同窓生です。弁護士、税理士、1級建築士と職業は異なりますが、「それぞれの持ち味を生かしながら、地域で面白いことができないか」とカフェを始めました。

かつて多くの町や村には、食料品から日用雑貨までそろい、お茶をすすりながら世間話をする「よろずや」がありました。店名には、そんな場を再生したいとの思いを込めました。庭の手入れや電球の交換など、日常の困りごともできる限り引き受けています。

失われつつある地域の絆を再生しようと、コミュニティカフェは約10年前から盛んになってきました。地域に居場所を作り、課題を解決しようというNPOや任意団体、企業などが運営主体となっています。情報を共有し緩やかな連携を目指そうと、09年秋には「コミュニティカフェ全国連絡会」が発足しました。

連絡会事務局を務める長寿社会文化協会(WAC)の田中尚輝常務理事は「少子高齢社会の問題を解決するには、互いに支え合う地域コミュニティーの再生が不可欠です。コミュニティカフェで住民同士が知り合うことで、地域を変えていきたい」と話しています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2011年1月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。