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高齢者に広がる絵本の読み聞かせ
子どものものと思われがちな絵本ですが、お年寄りにも愛好者が広がっています。子どもに絵本を読み聞かせる高齢者グループと、老人ホーム入居者に絵本を読む活動を紹介します。お年寄りは、読み手としても聞き手としても絵本に親しんでいました。

今年2月上旬、川崎市立中野島中学で、ボランティアグループ「りぷりんと」の60〜80代のメンバー8人が、1年生に絵本の読み聞かせをしました。熱のこもった語りに、生徒は静かに聴き入っていました。

高齢者が学生に本を読み聞かせる様子(イラスト)絵本に触れる機会の少ない中学生ですが、ある生徒は「また読んでもらいたくなる」、別の生徒も「お年寄りと会えるのはうれしい」と話しました。

りぷりんとのメンバーは「絵本がこんなに奥深いものとは思わなかった。以前より元気になった」と口をそろえています。子どもに適した絵本を選ぶため図書館や書店に度々出かけ、勉強会も開いています。84歳の女性は「けがをしても読み聞かせに行きたいと思うと回復が早い」と話し、別の69歳のメンバーも「子どもたちが待っているので、体調に気をつけるようになった」と言います。生きがいを得て体の調子がよくなる効果もあるようです。

りぷりんとは「世代間交流による高齢者の社会貢献に関する研究」として、東京都健康長寿医療センター研究所が04年に始めました。専門家の研修を受けた高齢者が地域の学校などに定期的に出向き、読み聞かせをしています。東京都中央区、杉並区、川崎市多摩区、滋賀県長浜市の4カ所で約200人が活動しています。

リプリントには「復刻版」という意味があります。プロジェクトを設立した同センターの医師は「お年寄りが生きがいを見いだし、地域再生のために人生を復刻してほしい」と話しています。世代間の交流で子どもも高齢者も元気になることを願っています。

みんな聞いてくれてるわ!本を読み聞かせている様子(イラスト)メンバーは公募で決まり、選書や読み聞かせ法、発声の仕方、ボランティアの心得や子どもの現状などを3カ月間、専門家から学びます。一般の本ではなく絵本を選んだ理由について、医師は「幅広いテーマを題材にしており、親しみやすい。高齢者が知的好奇心を持って飽きずに学び続けられる」と話しています。文字が大きくて読みやすいうえ、学校の読書活動の広まりでボランティアの受け皿があったことも、活動を後押ししました。

「お元気そうですね」。児童文学作家で読書の普及に取り組む79歳の女性はお年寄りたちに、にこやかに声を掛けました。この女性は10年前から毎月1回、特別養護老人ホーム「ちょうふの里」(東京都調布市)を訪れ、読み聞かせを続けています。亡き母がホームに入所したのをきっかけに「憩いの時を過ごしてほしい」と始めました。

2月の訪問では、「いなばの白うさぎ」を選び、「冬景色」「早春賦」など高齢者になじみ深い歌を歌いました。車いすの人がほとんどで、身を乗り出すように絵本に聴き入り、体でリズムを取って歌っていました。この女性は「絵本を通じて若い時の話で盛り上がることもある。楽しんでもらえればうれしい」と話していました。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2011年4月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。