お役立ち情報/情報ものしり帖

震災のCMで脚光を浴びた二人の詩人
大正時代から昭和にかけて活躍した詩人の宮澤章二(1919〜2005)と金子みすゞ(1903〜30)の詩に共感の輪が広がっています。東日本大震災後から流れたCMに引用されたためで、詩集は増刷が相次いでいます。優しく温かいフレーズが、悲しみに包まれた人たちの心を癒やしているようです。

 <こころ>はだれにも見えないけれど
 <こころづかい>は見える

宮澤章二(イラスト)電車で妊婦に席を譲れなかった男子高校生が、石段を上る高齢女性の背中にそっと手を添える——。こんな映像のCMで朗読されるのが宮澤章二の「行為の意味」です。

同じタイトルの詩集は震災後に注文が殺到し、4月1日から11日まで約2万1000部を印刷しました。

版元のごま書房新社は「学校や企業がまとめて買うことも多い。復興の担い手となる若い世代に広く知られ、宮澤さんも本望と思う」と話しています。宮澤は高校教師を経て詩人・作詞家となり小中高約300校の校歌を作詞しました。クリスマスソング「ジングルベル」の訳詩でも知られています。

 「遊ぼう」っていうと「遊ぼう」っていう。

金子みすゞ(イラスト)けんかした子ども同士が仲直りする映像で、歌手のUAさんが朗読するのが金子みすゞの詩「こだまでしょうか」です。26歳で亡くなったみすゞの晩年の作品とされています。詩集「わたしと小鳥とすずと」(JULA出版局)などに収録されています。在庫切れになるほど人気でしたが、東北の製紙工場が被災して製本が難しくなったため、3月末から電子書籍版の配信に踏み切りました。

配信元の「ANALOG TWELVE」の社長は阪神大震災を経験し、みすゞの詩に励まされた被災者がいたことを思い出して電子化を決めたそうです。1部450円(手数料など除く)の詩集は、被災者の申告があれば無料です。売り上げの一部は被災地に寄付されます。紙の詩集も増刷中です。

「遊ぼう」って言うと・・・テレビの前の親子(イラスト)みすゞの故郷・山口県長門市に建つ「金子みすゞ記念館」の矢崎節夫館長は「この詩は大切な人に思いをはせる内容。被災者の痛みを自分の痛みと感じ、何かできることをしたいと願う人々の思いと合致したのでは」と話しています。

毎日新聞生活報道部

Copyright© 2003 - 2011 Kyoei Fire&Marine Insurance Co.,Ltd. All rights reserved
※掲載されている情報は2011年5月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。