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絵本セラピーを体験しました
絵本を使って自分自身を見つめ直し、再発見する大人のためのワークショップが「絵本セラピー」です。「絵本はこころの処方箋」(瑞雲舎)の著者で、絵本セラピスト協会代表の岡田達信さん(46)が考案しました。岡田さんが実践するグループセラピーを記者が体験しました。

絵本セラピーの様子(イラスト)川崎市宮前区の幼児園に集まった保護者ら約20人は、4、5人のグループに分かれ、園児用の小さないすに腰掛けました。

にこやかに現れた講師の岡田さんが、最初に読んだ絵本は「まめうしくんとこんにちは」(PHP研究所)です。岡田さんの呼びかけで、恥ずかしがったり怒ったり、いろいろな「こんにちは」を全員が大声で言うと、会場に一体感が生まれました。

続いて読んだのは「りんごがたべたいねずみくん」(ポプラ社)です。木になったリンゴを、鳥やサル、ゾウなどの動物はうまく取りましたが、ねずみくんは取ることができませんでした。そこで最後に残った二つのリンゴをアシカと協力して取るという話です。

受講者はこの絵本を「どう思ったか」についてワークシートに書き込みました。記者は「他の動物たちを見ているだけでなく、『取って』と頼めば良かった」などと厳しく指摘しました。グループ内でコメントを読み合ったところ、他の受講者は「自分の得意なことを生かせばよい」「無い物ねだりではなく、自分ができることをすればよい」など、記者にとっては意外な感想でした。

絵本セラピーの様子その2(イラスト)「おこだでませんように」(小学館)は、先生やお母さんに怒られてばかりいる男の子の心情を描いた作品です。男の子は「ええこやね」と言われたいのに、行動が裏目に出てしまいます。受講者たちは絵本を聞いた後、「自分が欲しい言葉」を書き出しました。記者の上位三つは「よくやっているね」「記事良かったよ」「いつも記事読んでいます」でした。すべて仕事に絡んだ言葉でしたが、他の人は「一緒にいると楽しい」「輝いている」など自身への評価を求める言葉が目立ちました。

小学生と中学生の子どもがいる40代の主婦は「ほめてほしいことが家族からの言葉だけだった。もっと世界を広げたいと思った」と話しました。3人を子育て中の30代の主婦は「自分が何を大事にしているか気づいた」と話しました。記者は「家族も仕事も大切」という心情で働き続けてきたつもりでしたが、仕事に強い関心が向いていることに気づかされました。

岡田さんは「現れた深層心理が良い悪いではなく、気づくことが大切。気づきさえすれば、次に何をするか見えてくる」と話しています。

岡田さんが絵本セラピーを考案したきっかけは、一冊の絵本でも人によって解釈が異なり、知識、価値観などを無意識に投影して読んでいると気づいたことです。ワークショップは全国各地で開かれており、受講者は既に2000人以上に上っています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2011年7月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。