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孫育てに奮闘する「育ジイ」
夫婦共働き世帯の増加と保育施設の不足を背景に、「孫育て」するシニア世代が増えています。中でも注目はおじいちゃんの孫育てです。育児に主体的に取り組む父親=イクメンが一気に浸透したように「イクジイ(爺)」「ソフ(祖父)リエ」は広がるでしょうか。

東京都内のホールで6月末、「イクジイ養成講座」が開かれました。参加したのは、幼い孫を持つ男性です。千葉県習志野市の男性(70)は、5歳と1歳の孫の世話を娘に頼まれることが増えたのを機に、孫育てを学ぼうと思ったそうです。若いころは仕事一筋で、娘のおむつ一つ替えたことがありませんでした。「この前、うんちのおむつを替えて娘に感心された」と笑う顔がちょっと誇らしげです。

孫のおむつを替える様子(イラスト)

この日の講座では、NPO法人「孫育て・ニッポン」の棒田明子理事長が「今トラブルが多いのは、嫁姑(しゅうとめ)より娘と実母」と仲立ち役の祖父の大切さなどを伝えました。祖父母が読み聞かせるのにお薦めの絵本も紹介され、佐藤さんは「昔は絵本なんて読んで育てなかった」と世代の差を実感していました。

主催したNPO法人、ファザーリング・ジャパンの安藤哲也代表は「この世代の男性は天敵だと思っていた」と話しています。長時間残業に休日出勤が当たり前だった世代に共通するのは「家のことは妻任せ」で育児経験が乏しいことです。育児休業を取りたいという男性にも、渋い顔をする人も多かったのですが、NPO活動の中で、孫や学校、地域とかかわる男性たちにも思いの外めぐり合い、考えが変わったそうです。

こうした男性たちの存在を世間に広め、祖父の育児参加を促そうと始めたのが「イクジイプロジェクト」です。

今後、ホームページや講座で「祖父ならでは」のかかわり方を提案していきます。体力勝負で外遊びするのではなく、知恵や経験を生かした伝承遊びや絵本の読み聞かせを勧めるといった具合です。

自分の孫だけでなく、地域の子育ての力にもなってほしいというのが安藤代表の願いです。

じぃじガム買おて わがったわがった 孫とお爺ちゃん(イラスト)

NPO法人「エガリテ大手前」の古久保俊嗣代表も「引退したら遊んで暮らすというのが今の老後のイメージ。でも、そば打ちや旅行はもっと年を取ってからできるでしょう」と促しています。育児する祖父をソムリエならぬ「ソフリエ」と名付け、数年前から「ソフリエ講座」や「ソフリエ検定」を実施し、定年後の緩やかな働き方として孫育てを勧めています。

男女共同参画に取り組むエガリテ大手前の特徴は、おむつの替え方やミルク・離乳食の作り方など、乳児のケアを集中的に教えることです。背景には、祖父母の協力で母親の出産退社を防ぎたいという思いがあります。古久保さんは「中小企業に勤める女性の育休取得は非常に厳しいのが実態。退社した女性が一生キャリアを積めないのは悲しい」と話し、祖父に期待を寄せています。

孫育て・ニッポンの棒田さんは「一般的に祖父は包容力があり、遊ぶのも上手」とエールを送りつつ「おもちゃ、ジュース、お菓子などを買い与え過ぎて父母に嫌がられる人が多い」と注意を促しています。また「男性は夢をもつことが多い。孫とやってみたいことについても、具体案をぜひ家族に伝えて。家族が応援してくれるようになり、絆も深まる」と勧めています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2011年9月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。