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基礎の料理講座が人気です
「タマネギの皮はどこまでむくのですか」「米を洗う洗剤は?」。各地の料理教室で最近、こんな質問が飛び交っています。総菜や冷凍食品などが増え、料理をしたことのない人が増えています。こうした若い世代に、包丁の持ち方から教える教室が人気を集めていると聞き、のぞいてみました。

午後6時半、仕事帰りの20〜30代の女性が、ベターホーム協会(東京都渋谷区)の「お料理はじめての会」に集まってきました。今回が初回とあってみな緊張気味です。

タマネギの薄切りを前に「きゃーっ、怖い」と後ずさりする人の様子(イラスト)包丁をほとんど握ったことがないという女子大生(22)は「リンゴの皮もむけないので、基本から教わり、おしゃれな料理を作れるようになりたい」と話しています。週に1、2回は、パスタや野菜炒めを作るという女性会社員(27)は「野菜の切り方、調味料の正しい量り方を学び、もっとレパートリーを増やしたい」と意欲的です。

協会は約50年前から全国で家庭料理を教え、約200万人が受講しました。包丁を握れない人が目につくようになったのは、ここ数年のことです。11年5月「お料理はじめての会」を全国で164クラス開講したところ受講生が殺到、11月には260クラスに増やしました。

今回のメニューは「エビとキノコのグラタン」「カブとベーコンのスープ」「リンゴとクレソンのサラダ」です。タマネギの薄切りを前に「きゃーっ、怖い」と後ずさりする人もいれば、薄切りできず厚くスライスする人もいました。

フライパンを持ちながら「ヒィ〜ッ、コワイー」と後ずさりする人の様子(イラスト)講師の女性は、野菜の皮むきができない人が多いと指摘し、「左手にニンジンを持ち、右手で親指をたて皮にそってむいていく基本動作ができない」と話しています。

通常は一度に3〜5品作るメニューの数を少なめにし、簡単なものを選んでいます。手洗いや料理にふさわしい身支度、まな板の置き方やスポンジの洗い方といった調理以前の基本についても丁寧に教えます。

協会の調査では、160人の講師の82%が、最近の受講生は料理レベルや食の知識が低下したと感じています。昆布巻きのかんぴょうを「食べられる?」と聞く人もいれば、急須を指さし「これは何」と言う人も。ごはんをおたまでよそう受講生もいました。それでも、「細かいことにとらわれず家で楽しく作ろうと思ってくれればいい」と講師の女性は話しています。

洗剤を持ってきて「お米はこの潜在でとぐのですか?」と尋ねる様子(イラスト)同様の傾向は各地でみられます。大阪と東京で教室を展開する辻クッキングスクール(大阪市北区)では4、5年前から、習いたいことをマンツーマンで学べる「ワンポイントレッスン」を始めました。料理をしたことのない人向けに包丁の扱い方や野菜の切り方、魚のおろし方を教えています。

東京都内の自宅で10年前から料理教室を開いている女性は、30代の女性会社員に米をといでくださいと言った時、「どの洗剤を使うのですか」と聞かれたといいます。「祖母から母へ、母から子へと料理が伝承されてこなかった。学生時代は勉強が優先され、働き始めると忙しく、料理する時間がないのでは」とみています。

ベターホーム協会は全国の25〜35歳の独身女性361人に「アラサー独身女性 食の本音調査」というネット調査を行いました。社会人になるまでに親や祖父母から料理を習ったことのある人は4割で、料理を作る頻度も3割強の人が週に1回未満、全くしないという人も8%いました。切り干し大根、ひじきなどの乾物を使った料理が苦手な人は6割、茶わん蒸しや天ぷらにいたっては8割と、伝統的な家庭料理が伝承されていないことがわかりました。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2011年12月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。