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その眠気に要注意
寝ている間に呼吸が何度も止まって熟睡できず、日中に激しい眠気に襲われる「睡眠時無呼吸症候群」(SAS)。太った中年男性の病気と思われがちですが、あごの骨格によっては20〜30代でも生じ、閉経後の女性も注意が必要です。心疾患を引き起こす恐れもあり、専門家は年齢や性別を問わず、まずは自己診断してほしいと呼びかけています。

グオオオオオ いびきをかいて寝ている様子(イラスト)東京都渋谷区の睡眠クリニックの副院長(40)は「肥満といびきがSASの象徴だが、中年男性に多い病気というイメージは誤解を招きやすい」と警告しています。副院長によると、SASの主な原因は、舌の根元がのどに落ちて気道を塞ぐことです。肥満傾向の人は気道の周りや舌に脂肪がつき、気道が塞がりやすいのですが、「やせているからといって安心してはいけない」といいます。

ある20代の男性患者は、やせ形でいびきの自覚もなかったのに、仕事中の睡魔に悩まされていました。会社の指示でクリニックを受診し、SASと診断されました。副院長は「下あごが引っ込んでいる人(下顎(かがく)後退)はあおむけで寝ると舌が下がり、気道が塞がりやすい」と説明しています。横顔を見て、あごの下のラインが短い人は注意が必要です。

また、SAS患者らでつくるNPO法人「睡眠時無呼吸症候群ネットワーク(SASネット)」(東京都台東区)の事務局長は「女性も更年期を過ぎたら、SASに気をつけてほしい」と呼びかけています。閉経後に女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減少すると上半身が肥満になりやすく、SASの発症率が上がります。しかし、「いびきを恥ずかしがって検査をためらう女性も多い」といいます。

睡眠時無呼吸症候群の検査の様子(イラスト)横浜市都筑区の歯科クリニック院長は、03年10月〜10年8月にマウスピース装着で治療したSASの患者700人を集計しました。40歳以上が66%でしたが、20〜30代の患者も32%で、女性患者も全体の2割にのぼりました。また、米ペンシルベニア大が90年代に実施した調査では、閉経前の女性のSAS有病率は0.6%だったのに対し、閉経後では2.7%でした。

SASは重大な病気につながることもあります。千葉県船橋市の男性(75)は「無呼吸に気付かずにいたことが、心不全の最大の原因だったかもしれない」と振り返っています。階段や上り坂で息苦しさを感じるようになったため、05年5月、大学病院を受診しました。医師から「必要な酸素の53%しか体内に取り込めていない。極度の酸欠状態です」と即入院を言い渡され、そのまま集中治療室へ。心不全と診断され、約2週間入院しました。

その後も通院治療し、医師から「念のために」とSASの検査を勧められました。病院に1泊し検査を受けると、睡眠中の呼吸停止が1時間に平均27〜28回もあり、中等症のSASと判明しました。医師は「症状はかなり前から出ていたはず。なぜ気付かなかったのか」と驚いたそうです。

鼻にマスクを装着し気道に空気を送り込む「CPAP」(シーパップ)の装置を睡眠時に着用することで、呼吸停止が1時間に5回を超えることはなくなりました。今は日常生活に支障はなく、「CPAPは一生のベッドパートナー」と笑っています。

「よう眠れた!」起床時の様子(イラスト)この男性は30〜40代のころから、会社の健康診断で不整脈を指摘され、当時からSASだった可能性もあります。「睡眠中の低酸素状態が長く続き、心臓に余計な負担をかけてきたのだろう。私と同じ轍(てつ)を踏まないよう、多くの人にSASのことを知ってほしい」と願っています。

SASネットや学識者、企業などでつくる「SAS広報委員会」は11年4月から「グリーンピロー 睡眠時無呼吸検査促進キャンペーン」を展開しています。「グリーンピロー」は、快眠を象徴する「緑の枕」の意味です。

SASネットの理事長は「国内に少なくとも200万〜300万人の患者がいると推定されるが、CPAP治療をする患者は約20万人にとどまっている。埋もれている患者を掘り起こすためにも、まずはセルフチェックから始めてほしい」と呼びかけています。

SAS広報委は、ウェブサイト(http://www.greenpillow.jp)で、セルフチェックや配偶者らによるパートナーチェックの方法を公開しています。SASの確定診断ができる全国の医療機関約690カ所も紹介しています。

SASセルフチェック(SAS広報委員会作成)
 □しょっちゅう(常習的に)いびきをかく=1.5点
 □肥満傾向がある=1.5点
 □高血圧だ(高血圧の薬を飲んでいる)=1.5点
 □昼間の眠気、居眠りで困ることがある(仕事中や会議中、運転中など)=1.5点
 □寝付きは悪くないが夜間の眠りが浅い。または、しばしば目が覚める(トイレで目が  覚める場合も含む)=1点
 □いくら寝ても朝疲れが取れていない感じがする。朝しばしば頭痛がある=1点
 □お酒を飲んでいない日でも、夜間寝ている時に息が止まる日がある=3点
  <診断結果>
  合計0〜2.5点→SASの可能性は低いが、体重増加やいびきが増えるなどの変化 が表れてきたら注意
 合計3点以上→SASの可能性が高い。SAS対応の医療機関で早急に診察を

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2011年12月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。