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介助犬の仕事を知りましょう

体が不自由な人の手足となって日常生活をサポートする「介助犬」。02年10月にすべての公立施設や公共の交通機関で介助犬の受け入れを義務づける身体障害者補助犬法が施行され、03年にはデパートやホテルなどの民間施設にも適用範囲が広がりました。しかし、一般の人が介助犬の姿を見かける機会は少なく、その存在はあまり知られていないようです。

「盲導犬は知っていたが介助犬は知らなかった」と話すのは、東京都内に住む主婦(34)です。昨年7月、小学1年の長男と買い物に出かけた大型ショッピングセンターで盲導犬を見かけました。

盲導犬、聴導犬、介助犬(イラスト)

「あの犬は目の不自由な人を助ける仕事をしているんだよ」と教えると、長男は興味を持ち、夏休みの研究で取り上げました。長男に協力して調べるうち、盲導犬や耳の不自由な人を助ける聴導犬のほか、介助犬という計3種類の補助犬がいることを知りました。「息子とは介助犬や盲導犬が当たり前にいる世の中になればいいねと話したが、まずはその存在や役割を知らないと理解が深まらないと思う」と話しています。

介助犬が担う作業は、使用者の障害によってさまざまです。落とした物を拾って渡す▽ドアの開閉▽段差やスロープで車いすを引っ張る――など、日常生活に欠かせない動きを補助します。活動場所も自宅や職場から外出先、電車やバスの中など幅が広くなっています。

介助犬は70年代後半から欧米で育成されましたが、日本での歴史は15年程度です。厚生労働省によると、全国で実働するのは58匹(12年1月1日現在)で、盲導犬の1067匹(同)と比べ圧倒的に少ないのが現状です。

介助犬の普及・啓発活動をする「日本介助犬アカデミー」(横浜市港北区)の事務局長は「介助犬と認定されるには高いハードルがある。大量生産ができるわけでもない」と育成の難しさを指摘しています。

介助犬の訓練の様子(イラスト)介助犬になるには、温厚な性格▽人と一緒に作業するのが好き▽遺伝性の疾患がない――などの条件を満たさねばなりません。候補の子犬はまずボランティアの家に預けられ愛情をかけて育てられます。1歳になると訓練を始めますが、この間に、人混みを怖がってほえるなどして、適性がないと判断されることもあります。

訓練を始めて半年〜1年で使用者が決まります。右手がまひした人、両足が不自由な人など障害は人によって異なるため、使用者の障害に合わせた訓練をします。使用者と犬がペアで受ける40日以上の合同訓練を経て、厚労相が指定する団体の試験に合格すると、ようやく介助犬として認定されます。アカデミーによると、最終的に認定されるのは候補になった犬の3割程度で、残りは介助犬のPRをする犬や普通のペットになります。

認定基準を緩くすれば介助犬の数は増えますが、使用者のニーズに応じられなかったり、犬が周囲に迷惑をかけたりする恐れがあります。アカデミーによると、今でも「そこら中で排せつするのではないか」「抜け毛が散らばる」と誤解している人もいるそうです。排せつは決められた時間に決められた場所でするよう訓練され、抜け毛対策ではケープを着せるなど、使用者が責任を持って管理していますが、あまり知られていないようです。アカデミーの事務局長は「介助犬がいることで体の不自由な人の社会参加が進むので、一般の人に広く知ってもらえるよう努力したい」と話しています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2012年2月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。