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「綺麗男」が増殖しています

東京都内に住む29歳の会社員の男性は、社会人になってから、朝晩の洗顔後、化粧水を欠かさなくなりました。冬は乾燥を防ぐため、寝室で必ず加湿器をかけ、顔はつるんとしてきれいです。

俺、臭くない? 美容を重視する「清潔男子」綺麗男(きれお)のイラスト高校時代から、リップクリームは必須アイテムでした。ズボンのポケットに入れて持ち歩き、会社の机には「置きリップ」もあります。「肌や唇が乾燥して、人から不潔に見られたら嫌だし、身だしなみとしてきれいにしておきたいと思って」と話し、香水にも気を使っています。出勤時はさっぱりしたかんきつ系、休日は甘い香り、と使い分けています。就寝前に体にふりかけ、朝はほんのり香るよう工夫しています。

20代を中心とした若い男性に、美容を重視する「清潔男子」が増えています。リクルート(東京都千代田区)のビューティワールド総研が昨年12月、東京近辺の25〜49歳の男性500人を対象に実施した調査では、「普段から肌の調子を気にかけている」という回答は、25〜29歳で17%に上り、全体平均(6.2%)を大きく上回りました。「窓ガラスやショーウインドーで自分の姿をチェックすることが多い」も25〜29歳では18%(全体8%)に上っています。

リクルートは、そんな若者たちを「綺麗男(きれお)」と命名しました。「いわゆる草食系男子とは異なり、美容意識が旺盛なのが綺麗男の特色。対人関係の配慮の大きさが上の世代と異なる」と解説しています。綺麗男が生まれる背景については、「女性の社会進出や育児に積極的な男性が増える中、性差の垣根が低くなり、体毛や皮脂などについて女性と同じような感覚をもつ男性が増えているためでは」と分析しています。

エステを受ける清潔男子の様子(イラスト)清潔男子や綺麗男の増加で、肌をケアする商品の売り上げも好調です。若者男性向けブランド「ギャツビー」を製造・販売するマンダム(大阪市中央区)では、シートで手軽に顔をふける「フェイシャルペーパー」と化粧水の2010年度の売り上げが、10年前の3倍を超えています。男性向け洗顔料は従来、スクラブ系で爽快感が強いタイプが人気でしたが、09年に「ヒアルロン酸配合 うるおい洗顔」とうたった新タイプを売り出すと、人気が急上昇しました。「においに敏感なのも最近の傾向。若い男性は『嫌い』と言われるより、『臭い』と言われる方が落ち込むそうです」と商品PR室の担当者は話しています。塗るだけで制汗・冷却効果があるボディーローションの昨夏の売り上げは前年同期の約6倍に上りました。

資生堂(東京都中央区)の男性用化粧品ブランド「ウーノ」は、92年の発売当初は白黒パッケージでしたが、05年ごろからカラフルなデザインに変えました。同社のヘア&メーキャップアーティストは「機能が細分化し、色分けしないとわからないくらい種類が増えたことが大きい」と説明しています。

うんっバッチリ!!鏡を見る様子(イラスト)若者の興味はエステにまで広がっています。TBCグループ(新宿区)が99年から展開する男性向けエステ「メンズTBC」では、顧客のうち20代が半数以上を占めています。脱毛を希望する人が多く、特に顔のひげ脱毛が人気です。以前は「顔をツルツルにしたい」というニーズが多かったのが、ここ数年は「ひげをデザインしたい」などの要望が増えてるなど、単なる清潔感でなく、おしゃれへの意欲も高まっています。宣伝部の担当者は「女性側の見方も変わり、体毛や肌をケアする男性に好感を持つようになってきたようだ」と話しています。

伊勢丹新宿本店(新宿区)のメンズ館では、従来の客層の中心は30代ですが、この2〜3年で20代が増えています。メンズコスメ部門のバイヤーによると、ヘアケア商品もコスメも、オーガニックなどナチュラル系の人気が高く、「お客様の多くは、加齢など具体的な悩みを持っているわけではなく、コスメなどをライフスタイルに取り入れたいという方が増えている」と話しています。爪の形を整えるやすりなどもよく売れています。「入社後のセミナーで、上司や先輩からケアの重要性を指摘されて店を訪れる人も多い。ビジネスに身だしなみが大切というのは海外では常識。グローバル化で日本にそんな意識が根付きつつあるのかもしれない」と話しています。

インターネットの情報サイト、オールアバウトガイドの男性美容研究家(39)は「今の20代男性が目指す美容は、見た目ではじかれたくない、嫌われたくない、というための手段という意識が強い。人目を気にする傾向が若い人ほど強く、清潔男子が増えているのは、人間関係の構築の仕方が変わっている表れではないか」と分析しています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2012年3月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。