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リビング学習で学力アップを

子どもが家で学習する際、子ども部屋ではなく、家族が集まるリビングを使う家庭が増えています。「東大に行く子はリビングで勉強していた」などの説が教育雑誌などで広まり、積極的にリビング学習を取り入れる親も多いようです。そのメリットと、注意すべき点を探りました。

埼玉県川口市の会社員の女性(38)は、小学2年の長女(7)の入学に合わせて購入した机をダイニングテーブルの脇に置いています。子ども部屋はありますが「私が子どもの頃も居間のこたつで勉強した。家族がいるところがいいかなと思って」と話しています。リビングで勉強していれば、音読などの宿題にもすぐに対応でき、目も届きます。人目に触れる場所なので、机が散らかると雑然とするのは悩みですが「親子のコミュニケーションが取りやすく、満足しています」と話しています。

リビングで勉強している様子(イラスト)大手家具メーカーによると最近、机を見に来る親の多くが「リビングに机を置くのが理想」と話し、シンプルで長く使える机が求められているそうです。入学時に「まだ机はいらない」と、椅子や収納用ラックだけを購入する親も珍しくありません。学習机は10年前まで、入学準備品として買うのが当然でしたが、今は当たり前でなくなったようです。リビングのテーブルで勉強している家庭が増えたことは、親が子どもに密に関わるのが当然になったという親子関係の変化が、学習環境に表れているといえそうです。

「リビング学習」を勧めるのは、「百ます計算」の活用で知られる陰山英男・立命館大教授です。陰山教授は「自室にこもって集中できるのは、大学受験に向かう時のような自立した年齢になってから。子どもは元々集中するのが難しく、家族と一緒の空間でリラックスするがゆえに集中できる」と説明してます。

ただ、食卓での勉強は好ましくないと言います。「テーブルで親と対面で勉強すると、親の表情が気になってしまう。親は付かず離れず距離を保って。リビングに学習用机を設けるのがベストです」と話しています。リビング学習をやめる時期は、子どもの成長に任せればよいとし、「勉強が難しくなると『聞いても当てにならない』と親を"見限る"ようになる。自我が芽生える時期と重なり、自然に離れるのを見守って」と助言しています。

建築家で、中学受験学習塾を主宰し「子どもの才能は間取りが育てる」(マイコミ新書)の著書がある諸葛正弥さんは「『どこで』より『どのような環境で』勉強するかが重要。孤独な環境で勉強しないことが大切だ」と話し、小中学生のリビング学習を評価しています。

個室で勉強中に居眠りしている様子(イラスト)塾で小学生を見てきた諸葛さんは「今は親に理解されていると感じている子が非常に少ない」と話し、幼い頃から個室が居場所になってしまうと、親子の絶対的信頼感が薄らぐと感じるそうです。「子どもは親にかまってほしい気持ちがある。子ども部屋で勉強させる場合も、できればパソコンや学習参考書はリビングに置き、自然に家族がコミュニケーションを取れる工夫を」と指摘しています。「学習環境以上に、勉強を通じた親子関係づくりを考えてほしい」と勧めています。

子どもを親の近くで勉強させる場合、ダイニングテーブルなどを利用する家庭も多いでしょう。そんな場合、何に気を付ければよいでしょうか。

奈良女子大生活環境学部の教授は照明について、「天井の一つの照明で部屋を照らす、日本の住宅に多いタイプなら大丈夫。均質に照らすし、光量は全く問題ない」とアドバイスしています。勉強空間は格段に明るくする必要はなく、むしろ明るさにムラがないことが大事です。明るさの違う部分を視線が行き来すると目の調節機能が常に働き疲れてしまうためです。そこで昼は外光との差に気をつけ、夜は部屋に合わせて手元の照明の照度も落とします。勉強場所を食卓のダウンライトの下と決めたり、持ち運びできる電気スタンドを用意するのも効果的です。

机や椅子については、大人用サイズのものを使うと姿勢が心配です。特に大切なのは、机上面の高さがひじと同じか少し低めであることです。ひじより高いと、手や肩に余計な力が入ります。また、目までの距離が近いので、常に目の筋肉を使い疲れてしまいます。逆に、机がひじより低いと背筋が自然に伸びて正しい姿勢を取りやすくなります。

また、椅子は端にちょこんと座ると血流が良くありません。足をぶらぶらせず、座面に均等に力が加わるよう、足置きなどで調節しましょう。クッションや座椅子で工夫すれば十分学習に適した環境は作れます。せっかく目の届く距離に子どもを置くなら、姿勢にも気を配りましょう。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2012年4月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。