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トマトでやせるって本当?

「トマトを食べるとやせる!」。こんな話が広まり、店頭では一時トマトが品薄になるほどの現象まで起きました。発端は京都大学のマウスの実験ですが、本当にダイエットになるのでしょうか。改めて実験の意味を考えてみました。

「マウスによる実験で、トマトの成分が中性脂肪を減らす働きを持つことが分かった」

河田照雄・京都大学教授(食品機能学)らは2月10日、米国のオンライン科学誌「プロスワン」にこんな実験結果を公表しました。各種メディアに取り上げられ、トマトが一時的に品薄になるほどの反響を呼びました。ネットでは「トマトジュースでやせることが証明された」といった内容まで流れ、テレビのワイドショーでも「1日にトマト6個を食べるとダイエットになる」という番組が放送されました。

やせる? トマトを手にとりながら(イラスト)いったいどんな実験だったのでしょうか。

河田教授らが新たに見つけたトマトの脂肪燃焼成分は、脂肪酸の一種「13―oxo―ODA」(13―オキソ―オクタデカジエン酸)というものです。この成分をえさに0.02%と0.05%混ぜて4週間飼育した2群のマウスと、成分のないえさを食べたマウスを比べ、血液中や肝臓の中性脂肪に差が出るかを調べました。実験には、成長すると肥満や糖尿病になりやすい特別なマウスが使われました。

実験の結果、この成分の入ったマウス群の中性脂肪の平均(1デシリットルあたり平均約97ミリグラム)は、入っていないマウス群(同約142ミリグラム)に比べ、約3割も少なかったことが分かりました。また、成分入りのえさを食べたマウスでは、脂肪の燃焼にかかわる遺伝子の発現量(たんぱく質の生成量)が増えていることも分かりました。

この新たな成分は、生のトマトよりも、加熱・殺菌したトマトジュースにより多く含まれます。では、マウスに与えた成分の量は、人に換算するとどれくらいになるのでしょうか。

人とマウスでは体の表面積や消化吸収の仕組みが異なるため換算は簡単ではありませんが、トマトジュースの場合、おおよそ1日600ミリリットル(生のトマトで大玉6個以上)に相当します。ただ、この成分の含有量はトマトの品種や栽培条件によって大きな差があり、一概には言えません。

実験結果が公表された後「トマトでやせる」との情報が飛び交ったことについて、河田教授は「私たちは『トマトを食べてやせる』との結果を得たわけではない。太った人がトマトを食べれば、中性脂肪が下がることを証明したわけでもない」と指摘しています。「マウスで中性脂肪が減ったので、人でも同様の効果が得られる可能性がある。効果を確認するためには、さらに人で臨床試験を重ねていくことが必要だ」と述べ、実験結果を冷静に受け止めてほしいと訴えています。

健康食品の機能性などに詳しい専門家も「薬用成分として人の中性脂肪の低下に貢献する可能性はあるが、現段階では人にどれだけ効果があるかは分からない」と話しています。

寒天、バナナ、今度はトマト いろいろ試したな〜(イラスト)

過去にも「バナナでやせる」「寒天でやせる」などと騒ぎになる現象が起きました。こういう科学的な根拠に欠ける健康情報が広まる現象を、フードファディズム(ファドは一時的な熱狂の意味)といいます。今回の「トマトダイエット」もこの現象の一つではないかと、指摘する専門家もいます。この専門家は今回の実験結果について「人にあてはめて考えるには、まだ無理がある段階だ」と指摘しています。さらに「一般に『健康に良い』とされる機能成分の含有量はごく微量なので、ある食品に特定の健康効果を期待してはいけない。特定の食品を食べるだけで正常にやせることはあり得ない、と知ることが大事だ」と述べ、次から次へと起きるフードファディズムへの注意を呼び掛けています。

中性脂肪を減らすには何をすればよいのでしょうか。基本は食生活の改善です。特定のものを食べるか避けるかではなく、毎日バランス良く食べることに尽きるようです。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2012年5月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。