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字幕つきCMが好評です

字幕のついたテレビ番組が増えてきましたが、テレビコマーシャル(CM)で字幕を目にすることはほとんどありません。そんな中で花王が、自社のCMに字幕をつける試みを積極的に行っています。聴覚障害者の間でも「内容が分かりやすい」と好評で、花王の取り組みが広がることに期待する声が上がっています。

「なんて言ってんのかな?」テレビを見ている様子(イラスト)花王は1月中旬から、TBS系列で金曜午後11時から放送しているトーク番組「A―Studio」で、字幕付きのCMを放送しました。テレビのリモコンの「字幕」ボタンを押せば、画面の下方の中央に、音声と同じ内容の文字が現れる仕組みで、4月末まで試験的に放送しました。

「高齢者を含めると、国内の難聴者は約2000万人。より多くの人に商品のメッセージを届けたかった」と、CM制作の担当者は意気込みを語っていました。

総務省は17年度までに、生放送などを除くすべての番組(午前7時〜翌午前0時)に字幕をつける――という目標を定めています。10年度の実績は、NHK総合が62.2%、在京キー5局が88.9%に達しました。ところが、放送時間の約2割に相当するCMはこの目標の対象外のため、実績もほぼゼロです。

この洗剤のおかげでとてもフワフワ すすぎは一回なのです。テレビの字幕(イラスト)背景には、ドラマなどに比べて字幕をつけるのが難しいというCM独自の事情があります。

字幕は16:9の横長のテレビ画面に対応していないため、1行に15文字までしか表示できません。セリフが長いと字幕が2〜3行にわたり、映像が見づらくなります。CMはドラマに比べ、短い時間に商品名や効能などの情報を詰め込むため、字幕の文字も長くなりがちです。

また、字幕は映像と同じレベルで表示のタイミングを細かく制御することができないため、映像との間にズレが生じることがあります。タイミングがずれれば、他社のCMの映像に字幕が映り込む恐れがあるため、CMの最初と最後に強調したいセリフがあっても、字幕をつけられないのです。

なるほどっ!テレビを見ている様子(イラスト)花王は昨夏、他社のCMに字幕が映り込む心配がない自社1社提供の番組で、試験的に約1カ月間、CMの字幕放送を実施しました。終了後、全日本ろうあ連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の協力で行ったアンケートで、90%が「(内容が)よく分かった」「分かった」と回答しました。「CMは字幕がないので、すぐにチャンネルを替えていた。初めて情報が分かり、うれしかった」という声も寄せられました。

もともと花王は、誰もが使いやすいユニバーサルデザインの導入に積極的です。91年には目を閉じていてもシャンプーとリンスの違いが分かるよう容器に刻みを入れることを考案、視覚障害者だけでなく健常者にも喜ばれました。担当者は「字幕も難聴者だけに有益なわけではない。病院や電車の中など、音が出せない環境でも生かせる」と指摘し、CMを持つ各社に取り組みを呼びかけています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2012年5月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。