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社食ツアーが人気です

タニタの社員食堂やそのレシピ本が火付け役となり、「社食」が大ブームです。本来は従業員の福利厚生のためにある社食ですが、一般客を社食に招待したり、社食メニューをレシピ本にして出版するなど、社食を自社のPRやイメージアップに活用する企業が増えています。

「わあ、明るくてきれい」「社員食堂じゃないみたい」。4月下旬、学研ホールディングス(東京都品川区)の社食ツアーに参加した男女13人から歓声が上がりました。

学研の社食は本社ビル13階にあります。全面ガラス張りの窓から東京タワーや東京スカイツリー、反対側から富士山が見えるなど抜群の眺望です。練馬区の自営業の女性(41)は「社食といえば薄暗いイメージだった。こんなに景色がいいなんて」と声を弾ませていました。

社員食堂の様子(イラスト)

台東区の会社員の男性(33)はこの日のメニュー「ヘルシータコライス」をほおばりながら「塩分控えめでおいしい」と満足そう。仕事時間が不規則で自社の社食を使ったことがないそうで、「景色がきれいでご飯もおいしい。こんな社食なら会社にもほしい」と話していました。

ツアーの各テーブルには学研社員が1人ずつ座り、「学研の教材使っていました」などと参加者との間で会話が弾みました。学研のCSR推進室室長は「株主や商品モニターではないお客さんとの新しいコミュニケーションの形になる」と、社食ツアーを歓迎しています。食後には、同社が出版するダイエット本の編集長との質疑応答もあり、参加者にはダイエット本がプレゼントされました。

ツアーを企画したのはクーポン販売サイトの運営会社ルクサ(渋谷区)です。広報担当者は「社食は社外の人が入れない特別な空間。そこで食事をすることはぜいたくな体験になると思い、ツアーを企画した」と話しています。

ルクサは昨年12月からマイクロソフトやバンダイなどの社食ツアーを実施しています。学研ツアーは4回目。各回とも10人ほどの定員に対し、2600〜6000人もの希望者が殺到しています。広報の担当者は「社食ツアーは企業にとって会社を一般消費者に紹介するいいチャンス。これからもいろんなツアーを企画したい」と話しています。

倍率の高い社食ツアー参加は難しくても、自宅で社食気分を味わえるレシピ本があります。タニタの社食メニューを紹介する「体脂肪計タニタの社員食堂」(大和書房、1200円)のほか、「カルピス社員のとっておきレシピ」(池田書店、809円)、「永谷園のお茶づけ海苔でおもてなし」(ぶんか社、880円)など、食品会社が自社製品を使ったメニューを紹介する本の出版も相次いでいます。

「ちょっとうらやましいかも・・・」社食を食べるツアー参加者の様子(イラスト)また、化粧品会社のポーラ(中央区)は、美肌をテーマにした社食レシピ本「POLAの美肌食堂」(ワニブックス、1200円)を4月に出版しました。化粧品会社らしく「美肌」にこだわったメニューは、すべてポーラの社食で提供されているものです。

冒頭では美白やシミ、肌荒れやにきび、冷えなどの悩みに応じ、効果があるとされる食材を紹介しています。健康面にも配慮し、「あさりの炊き込みご飯定食(532キロカロリー)」や「鮭の黒酢南蛮定食(549キロカロリー)」など約20の定食メニューは、ご飯に汁物、主菜や副菜を合わせて、500〜700キロカロリー程度に抑えられています。広報・IR室の担当者は「社食を一般のお客様に開放するのは難しいが、レシピ本を参考に、ヘルシーな美肌メニューを楽しんでいただきたい」と話しています。

近年の社食ブームについて、社食紹介サイト「社食.com」の担当者は「タニタの成功で、社食をPRに利用できると気付く企業が増えた。特に食品や健康、美容分野の企業は、食と結びつけて自社のPRをしやすい。一般消費者にも良いイメージが伝わりやすい」と話しています。社食の役割も変わってきているようで、「社員の食事の場というだけではなく、社員が活躍できるように潤滑油の役割を果たすのが良い社食の条件」と分析しています。

味や健康に気を使ったメニューを取りそろえても、毎日通うと飽きてしまいます。「社食.com」の担当者は「他部署の同期や先輩と食事をしながら旧交を温めたり、ざっくばらんに話ができれば、社食が社会人としての能力を高める場所になる」と話しています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2012年6月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。