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勉強する社会人が続々 祝日も自習室盛況

社会に出るのも厳しいが、働き始めてからも気を抜けば、すぐに逆境に追い込まれる時代。学校を卒業してもなお、「学び」が求められています。能力を伸ばそうと勉強会や独学に励む、社会人たちが増えています。

パソコンに向かい、ビジネス文書を作成する中堅会社員、宅地建物取引主任者の資格試験対策を尋ね合う若い会社員連れ。東京・秋葉原の会員制自習室「勉強カフェ秋葉原ラーニングスタジオ」には、「敬老の日」である9月17日の祝日も30人近くの利用者が訪れ、熱心に勉強していました。

勉強会でノートを取っている様子(イラスト)ブース席には電源と無線LANが完備され、お茶やコーヒーなどは無料。テーブルを囲むラウンジ席では話をしたり、勉強会や食事もできます。入会費1万500円に加え、利用時間別に5000〜1万5000円程度の月会費がかかりますが、首都圏全6スタジオで会員は1000人を超えます。

スイミングスクールのコーチから転職を目指す茨城県の男性(27)は、11月の行政書士試験に向けて勉強中でした。「家にいるより、集中でき、異業種の人と交流できるので人間的な幅も広がる」。「総合旅行業務取扱管理者」の試験を来月に控えた別の女性会社員(32)は「資格があれば、出張の手配など社内業務のプラスになるし、旅行業界への道も開けるかもしれない」と話しました。

勉強カフェの運営会社によると、会員の約8割が会社員で、20〜30代がほとんど。キャリア形成を考える節目に勉強を始める人が多い。頻繁に利用する人には喫茶店より格安で、快適に勉強できるといいます。同様のカフェや自習室は全国各地に広がっています。

「対話の場づくり入門」と題された社会人向け勉強会が6月、東京都千代田区のイベントスペースで開かれました。さまざまな業種の企業から、人材育成担当者ら約30人が参加。6〜7人ごとにテーブルに分かれ、コミュニケーションの訓練プログラム「がちゃトーク」に挑みました。

全員が対話についての疑問や悩みを紙に書き、カプセルに詰めて袋に入れます。一つだけ取り出し、2分考えた後、1人が3分間スピーチするゲーム。「対話の場は楽しくないといけないのか」というテーマでは、埼玉県の病院で看護副部長を務める女性がスピーチしました。「内容が事故やミスの場合、対話が自己否定につながりかねない。でも失敗を生かすには振り返りが必要。対話の場は楽しい必要はありません」と話しました。

軽食で懇談する時間もあり、参加費は4000円。参加者からは「短時間で集中して他者の立場で考える訓練になる」「自分の職場でも試したい」などの声が上がっています。

自習室の様子(イラスト)

勉強会を主催したのは一般社団法人「経営学習研究所」(東京都中央区)。「日本を学習大国にする」を掲げ、6月に産・学で設立されました。社会人が学ぶための手法を考案しています。「がちゃトーク」の発案者の一人、長岡健・法政大教授は「実際の会議などでも活用してほしい」と話します。

研究所では今後も、業種を超えた勉強会を催すといいます。代表理事を務める中原淳・東京大准教授は「以前は異業種交流会、近年では朝活などと、不況になると勉強会がはやる傾向がある」とし、「昔は業績の悪い人が社内で集まって勉強していたものだが、最近はクリエーティブな人が社外の人と勉強会を開くことが多い」と分析します。

社内教育の一環で、世代間の交流を促す企業も少なくありません。中外製薬(東京都中央区)は07年、「OJT(仕事を通した人財育成)コーチ制度」を始めました。新入社員に原則、課長級の社員をコーチに付けて、新人の自立化と早期戦力化を目指すとともに、中堅社員の指導力や傾聴力、育成力などの向上を図ります。人財育成部は「新人とコーチはギブ・アンド・テークを相互にやりとりして共に育つ」と話しています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2012年10月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。