お役立ち情報/情報ものしり帖

魚離れを食い止めたい 水産庁は「ファストフィッシュ」作戦

水産王国・日本で「魚離れ」が続いています。若者だけでなく、今や50歳以上の中高年でも魚の消費が減り、肉類を好む傾向が強くなっているからです。危機感を抱いた水産庁の若手職員が「魚の国のしあわせ」プロジェクトを始動。魚の消費拡大に乗り出しました。

厚生労働省の国民健康・栄養調査報告によると、国民1人あたりの魚介類の摂取量は、01年以降減り続けています。06年に初めて肉類の摂取量を下回り、09年以降は差は拡大を続けています。消費量は全年齢層で減っており、11年度水産白書によると、60〜70歳以上の年齢層でも、00年に比べ、肉類を多く食べる傾向が強まっています。

お魚は調理がねぇ・・・スーパーの鮮魚売場の様子(イラスト)

一方、農林水産省が今年1〜2月に実施した水産物アンケートでは、約6割が「水産物の方が肉類より健康に良い」と回答しました。魚を食べたい意識はありますが、実際には食べていない実態が浮かび上がりました。

水産経済に詳しい馬場治・東京海洋大教授は「魚そのものを避けているというよりも、家庭での魚の『調理離れ』が魚離れをもたらしている」とみます。若い親が魚のさばき方や料理法を知らず、調理を敬遠しがちなことが、魚離れの背景にあるとの考えです。

ならば、骨なしの加工品など食べやすい形を工夫すれば、魚の消費は増えるのではないか――。こうした考えから水産庁は、プロジェクトの一環として「ファストフィッシュ」作戦を打ち出しました。

外食産業のファストフードにならい、同庁企画課など20代の有志8人によるチームが、手軽でおいしい魚料理を普及させようと始めました。現在、ファストフィッシュのレシピを募集中。外部の識者も加わった「わたしたちのファストフィッシュ委員会」(水産庁企画課、03・3592・0731)で優秀作を選び、水産庁のホームページで紹介します。
 水産庁だけではありません。全国の漁業協同組合では、主に女性たちが中心となり、学校や幼稚園などで出前料理教室を開くなど、魚食普及活動に取り組んでいます。

息の長い魚食普及活動が評価され、今年3月の全国青年・女性漁業者交流大会(全国漁業協同組合連合会など主催)で水産庁長官賞を受賞した神戸市漁協女性部の井上二三枝さんは「小学校で魚の料理を教えると、家に帰った子どもたちが『魚料理を作って』と親に求めるようになる」と、子どもを通じた魚食の普及に期待します。

ママのお魚おいしい! 食卓の様子(イラスト)

ところで、魚を食べると、本当に健康にいいのでしょうか。国内外の研究で、心臓疾患や糖尿病、認知症などの予防効果があることが報告されています。

こうした効果をもたらす主な機能成分は、魚の脂に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)の不飽和脂肪酸。マグロ、サンマ、ブリ、イワシ、サバ、ウナギ、カツオ、スジコなどに多く含まれています。

魚の健康機能に詳しい鈴木平光・女子栄養大教授は「魚の脂は乳幼児の神経発達や生活習慣病の予防に大切な栄養素。DHA入りのヨーグルトを食べた大学生の試験では、集中力の持続にも効果的なことが分かった」と、魚を食ベる有用性を強調しています。

毎日新聞生活報道部

Copyright© 2003 - 2012 Kyoei Fire&Marine Insurance Co.,Ltd. All rights reserved
※掲載されている情報は2012年11月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。