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獣医療で注目の東洋医学 はり治療、リハビリの補完に

獣医療の世界で、西洋医学に加えてはり治療などの東洋医学を取り入れた「総合(統合)医療」が注目されています。手術後のリハビリにはり治療を取り入れるなど、症状に合わせた処置ができ、治療の選択の幅が広がるようです。

ヘルニアで下半身が麻痺した犬の様子(イラスト)東京都世田谷区を拠点に往診してはり治療などをする「みずほ動物病院」の内田瑞穂獣医師は、「西洋医学だけでは治療に時間がかかったり、高齢になって強い薬を与えることができなかったりするような犬や猫にはり治療をしています。リハビリの補完的な役割もあります」と話しています。

例えば、重度の椎間板(ついかんばん)ヘルニアで下半身にまひが出た犬の場合、動けなくなったことで筋力が著しく低下し、関節が硬くなってしまいます。手術によってまひの原因を取り除くことはできても、元通りに動いたり、散歩に出かけるまでに回復するためにはリハビリが必要になってきます。はりを打つと感覚神経が刺激されて一時的に足を突っ張る力などが回復するため、マッサージや関節を動かしてあげるような従来のリハビリがしやすくなるといいます。

鍼治療を受ける犬の様子(イラスト)また、はり治療には健康管理や体調維持など「ケア」としての側面もあります。内田さんは「はりを打つと免疫力や代謝を上げることができ、検査では異常が見つからない不定愁訴の改善にも効果があります」と話す。下痢や嘔吐(おうと)を繰り返しているのに内視鏡検査などで原因が見つからない時、胃腸のツボにはりを打って症状を抑えることもあるといいます。

はりを打たれて、動物は痛みを感じないのでしょうか。内田さんが毎週金曜日に勤務するエルムス動物医療センター(杉並区)で、はり治療の様子を見せてもらいました。患者は椎間板ヘルニアで入院中のミッシー(ミニチュアダックスフント、メス、10歳)。約2週間前にヘルニアの手術を受け、現在はリハビリ中です。

内田さんは診療台に乗せられたミッシーに優しく声をかけながら、背中や腰、後ろ脚を触って手早くはりを打っていきます。「ツボの場所は解剖学的な目安があるので、あとは手探りで見つけていきます」と内田さん。知らない人に触られるのを極端に嫌う動物だとはり治療は難しいが、穏やかな性格であれば犬や猫、ウサギの治療も可能といいます。

元気に走り回る犬の様子(イラスト)はりを打たれている間、ミッシーは鳴き声を上げることもなく、おとなしくじっとしています。痛みは感じていないようです。内田さんは「飼い主から『はりは痛そうだ』と心配する声をよく聞くが、痛みはほとんどありません。人の治療と同じで、はりを打たれたという感覚がある程度」と説明しています。5分ほどで約20本のはりを打った後、約15分間、低周波を流して治療は終わりました。

内田さんは「西洋医学だけ、東洋医学だけと偏るのではなく、両方の良いところを組み合わせることで今まで以上に充実した治療ができます。はり治療を希望する飼い主も増えてきており、ペットや飼い主にとって最善の治療を提供していきたい」と話しています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2013年1月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。