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環境省「エコチル調査」

化学物質が子どもの健康や成長に与える影響を知るため、母親の妊娠中から子どもが13歳になるまで継続して調べる、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」。11年1月の調査開始から昨年10月までに集まった3万人あまりのデータを元にした速報値が、このほどまとまりました。約2年間で得られたデータからは、多くの妊婦がたばこの煙にさらされている現状や、妊婦の食生活の一端がうかがえます。

速報値によりますと、妊娠初期にたばこを「吸っている」と答えた妊婦は、全体の5%でした。年代別に見ると、25歳未満が特に高く、9%ありました。この年代では「妊娠後にやめた」も26%と高く、吸い続けている人と合わせますと、約3人に1人が妊娠した時点で喫煙していたことになります。妊娠中の喫煙は、流産、早産、低出生体重児の生まれる頻度を増やすとされています。

化学物質と子供たちのイメージ(イラスト)夫や恋人などのパートナーが喫煙しているかどうかを妊婦に尋ねたところ、45%が「現在も吸っている」と答えました。父親の年代別データは集計していませんが、妊婦の年齢が若いほどその割合は高く、25歳未満の妊婦の63%は「パートナーが喫煙している」と答えました。

民間企業や厚生労働省の喫煙率調査によると、20〜30代男性全体の喫煙率はおおむね3〜4割ですが、それに比べてこの数字は相当に高くなっています。調査対象や聞き方が異なるため単純な比較はできませんが、「妊婦や子どもの受動喫煙の影響が懸念される」(調査事務局)ことは間違いなさそうです。

食生活では、地域ごとの食習慣の違いが表れました。

妊婦の食生活について厚生労働省は、水俣病の原因となったメチル水銀を比較的多く含むクロマグロやメバチマグロを食べる頻度を週1回以下に抑えるよう呼びかけています。

調査ではマグロやカツオを食べる頻度を妊婦に尋ねましたが、週1回以上食べる妊婦の割合は、沖縄県が30%、高知県は17%と、全体の9%を大きく上回りました。事務局は「沖縄は魚類全般をよく食べる習慣があり、高知はやはりカツオの名産地だからだろう」と推測します。

今回の調査では魚の細かい種類までは聞いていませんが、摂取の目安を超えている妊婦がいる可能性をうかがわせます。

お腹をやさしく抱える妊婦(イラスト)出産直前(妊娠37〜41週)の妊婦の体重増加量をみますと、厚労省の推奨する範囲に収まっている妊婦は全体の45%にとどまり、17%は推奨範囲に届かない「やせた妊婦」でした。38%は推奨範囲を超えていました。特にやせ形(BMI=体格指数=18.5未満)の妊婦は、26%が推奨範囲(9〜12キロ)に達しませんでした。

妊婦がやせていて、胎児に十分な栄養が届かないと、子の成長後の糖尿病、高血圧、肥満につながるという説があります。低出生体重児はもちろん、出生時の体重が特別小さくなくても同様だとされており、今後の調査で関係を明らかにしていくといいます。

アレルギー疾患や発達障害、肥満などを抱える子どもの割合は近年増えています。背景に、母親の妊娠中や子どもの幼少時に身の回りの化学物質から受けた影響も指摘されますが、まだ詳しく分かっていません。

「エコチル」とは「エコ」と「チルドレン」の略称。調査は、全国15の対象地域で調査への協力を得られた妊婦とその子どもを対象に、質問票の記入や面接、健康調査を継続的に行い、妊娠中の母親の生活や幼児期の違いが、将来子どもの健康にどう影響するかを調べていきます。

1月末現在で5万7754人の母親が調査対象に登録していますが、環境省は最終的に10万組の親子の調査を目指しています。今年登録した子どもが13歳になる26年ごろまで調査を続け、32年までデータの解析を続ける計画です。

調査に携わっている大学教授は「これだけ大規模で長期の調査は世界でもほとんどない。実施には国民の理解が必要なので、調査の重要性を知り、応援してほしい」と訴えています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2013年4月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。