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PM2.5

中国から飛来する微小粒子状物質「PM2.5」への関心が高まっています。大気汚染や健康被害も懸念されており、目に見えない空気の汚れに不安を感じる人も多くいます。PM2.5について、改めておさらいしました。

●呼吸器系に影響

PM2.5とは、直径2.5マイクロメートル以下(マイクロは100万分の1)の粒子状の物質の総称です。太さは髪の毛の30分の1、粒径はスギ花粉の10分の1程度と小さいものです。

中国での発生源は自動車の排ガスや工場のばい煙、暖房用石炭と考えられており、黄砂も粒が小さいものはPM2.5です。線香やたばこの煙にも大量に含まれています。

北京でマスクを付けている人々の様子(イラスト)

粒子が小さいため、鼻やのどの粘膜で捉え切れず肺の奥まで入りやすい性質があります。ある専門医は「肺や細胞内に入ると体外に出すのに時間がかかる」と指摘します。長期的には呼吸器系疾患や肺がんのリスクが高まり、狭心症や不整脈など循環器系疾患が増える可能性があるとされます。幼い子や高齢者ほど影響を受けやすいといいます。

環境省は09年に大気中濃度の環境基準を作り、「1年平均で1立方メートル当たり15マイクログラム以下」「1日平均で同35マイクログラム以下」と定めました。今年1月に中国で深刻な大気汚染が発生すると、環境省は専門家会合を開いて外出自粛などの注意喚起をする大気中濃度の暫定指針値(1日平均で同70マイクログラム)を設定しました。

●今年も減少傾向

だが暫定指針値をめぐる注意喚起は自治体によってさまざま。防災無線で注意を呼びかけたり、事前に登録したメールアドレスに情報が送られたりするケースもあります。東京都では3月10日に清瀬市で一時的に291マイクログラムを記録するなど各地で暫定指針値を上回りましたが、注意は呼びかけませんでした。

高濃度を記録した各地では、屋外行事が中止されたり、マスクや空気洗浄機が売れたりしています。こうした騒ぎに「冷静な対応を」と訴えるのは、専門家もいます。この専門家は「もともと日本の大気中濃度は高く、近年は減少傾向にある。今年も平均値でみれば減少傾向に変わりはない」と話します。

●根拠ない言説も

よく耳にする言説も根拠のないものが多いといいます。「雨でPM2.5が黄砂や花粉とくっつき、化学反応で割れて細かくなり肺に入り込む」という説も、専門家は「雨が降れば花粉や黄砂は飛ばず、根拠がない」と話します。仮にくっついても粒子が大きくなるだけで、PM2.5ではなくなります。ただPM2.5を吸い込むことでアレルギーが悪化する可能性があり、疾患のある人は注意が必要だといいます。

「洗濯物の部屋干し」を呼びかける自治体もありますが、「質量が大きい花粉や黄砂には有効だが、PM2.5は軽くて洗濯物にほとんど付かない」(専門家)。マスクも、顔の大きさに合ったものを空気が漏れないように着けないとあまり効果がないといいます。

大陸からのPM2.5は偏西風で運ばれてきます。夏に向けて偏西風の影響が弱まれば飛来量も減ります。専門医は「外から帰ったら手洗いとうがいをして、外出を自粛したり窓を閉める程度で対策は十分」と話しています。

たばこを吸っている様子(イラスト)

◇たばこの煙は高濃度

PM2.5を気にするなら、気をつけたいのはたばこの煙です。医師らで作る日本禁煙学会が10年にさまざまな研究結果をまとめた資料には、衝撃的な数字が並びます。

自由喫煙の居酒屋では、PM2.5の空気中濃度が1立方メートル当たり568マイクログラムで、北京での深刻な大気汚染時に匹敵するレベルです。喫煙家庭や分煙店舗でも不完全だと環境基準を上回りました。国立がん研究センターが10年に公表した推計では、受動喫煙による年間の死亡者数は6803人に上るといいます。

ある医師は「たばこから出るPM2.5には約70種類の発がん性物質が含まれており、有害性は中国から飛来するものの比ではない」と指摘します。喫煙室や屋外で喫煙した場合でも喫煙後約20分間は呼気にPM2.5が含まれるといわれています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2013年5月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。