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野菜を丸ごと『ベジブロス』

野菜の皮やへた、種など今まで捨てていた部分を、コトコト煮込んで取っただし「ベジブロス」が注目を集めています。野菜の力を100%利用し尽くす調理法の魅力や作り方、活用の方法を紹介します。

●試行錯誤の末

「ベジブロス」とは野菜のベジタブルと、だしを意味するブロスを組み合わせた造語。ブームの火つけ役は、野菜を丸ごと食べる「ホールフード」を提唱している料理家のタカコ・ナカムラさんです。

タカコさんがベジブロスに出合ったのは20年以上前。作家で料理研究家の故丸元淑生(まるもとよしお)さんの著書で「野菜クズはミネラルの宝庫、捨てずに野菜だけのストックをとり……」という一文を読み、実践を始めました。「生産者が丹精込めて作った野菜を丸ごと使いたかった。試行錯誤を繰り返し、おいしいだしが取れるようになった」と話します。

くき、皮、へたが入ったベジブロスのイメージ(イラスト)●味も栄養も

2006年から開講している「タカコ・ナカムラ ホールフードスクール」では、基本だしとしてベジブロスの作り方を教えてきました。3月下旬には「ベジブロスをはじめよう。」(レタスクラブムック、1260円)を出版。テレビや雑誌などで話題になっています。

5月下旬、東京都大田区で開いた公開講座には10人が参加。ベジブロスの取り方をはじめ、炊き込みご飯やミネストローネスープなど4品の作り方を習いました。兵庫県西宮市の女性は「テレビで見て興味をもった。野菜のうまみが凝縮していて、おいしい」と話し、東京都あきる野市の女性は「野菜のうまみが出ているので、味付けが控えめでもおいしい。体に自然にスーッと入る感じがする」と魅力を実感した様子でした。

健康への効果にも関心が高い。順天堂大大学院の白澤卓二教授は「ベジブロスは野菜の栄養を丸ごと取れる優れた方法」と話します。野菜の皮や種、根っこには、活性酸素の増加を防ぎ、免疫力を高める栄養素「フィトケミカル」が多く含まれます。「虫や土の雑菌から実を守る皮、命の元の種、成長点となるへたや根っこを煮出すことで、成分が抽出され吸収されやすくなる」

おいしい!ベジブロスを元に作った料理を食べる子供の様子(イラスト)●作り置きして常備
 使う野菜は調理で残った切れ端でいい。種類が多いほど味に深みが出ます。パセリの軸やセロリの茎、トマトのへた、タマネギの皮を入れると香りが良くなります。逆にキャベツやブロッコリー、カリフラワーなどは臭いがきつくなるので避けた方がいいでしょう。

「安心で、おいしいベジブロスを作るには、できれば有機、無農薬の野菜を使って」とタカコさん。週1度、作り置きして冷蔵庫で保存してもいいし、製氷皿でキューブ状に冷凍保存してもいい。だしをベースに、みそ汁や具だくさんスープ、リゾット、炊き込みご飯、カレー、ロールキャベツが作れます。

「その時々で味が変わるのも楽しいですよ。野菜を丸ごといただくことで農業、食の安全、環境にも目を向けてほしい」とタカコさんは話す。

◇ベジブロス
《主な材料》(約1リットル分)
▽野菜の切れ端(タマネギとニンジンの皮、長ネギの青い部分、セロリ、パセリの葉や茎など)両手1杯分
▽水 1.3リットル
▽酒 小さじ1
《作り方》
<1>鍋に水を入れ、よく洗った野菜の切れ端と臭み消しに酒を入れる。
<2>弱火でコトコト20〜30分煮る。
<3>火を止めザルなどでこす。冷蔵庫で3日程度保存できる。

■人物略歴
◇タカコ・ナカムラ
山口県で日本料理店を営む家に生まれる。米国に遊学しホールフードと出合う。お菓子工房、カフェのプロデュースなどを経て、食と暮らし、環境を丸ごと学ぶ「タカコ・ナカムラ ホールフードスクール」を主宰。最新刊に「タカコ・ナカムラのホールフードでいこう」(自然食通信社、1575円)。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2013年7月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。