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夏、秋のアウトドア 「まさかへ備え」

本格的な夏のレジャーシーズンが到来し、秋の紅葉シーズンももうすぐです。海や山でアウトドアスポーツを楽しむ中高年が増え、不慣れな場所で思わぬ事故に遭うケースが起きています。「まさか」が起きてしまった時のために、どんな備えが必要でしょうか。

「中高年のアウトドアでは、小さな地面の段差を見落としたり、疲労が下痢や眠気につながりやすくなったり、と気持ちは若いつもりでも年齢相応の変化が体に表れ、さまざまな危険があります」。こう話すのは、中高年の自転車愛好家グループの男性主宰者(59)です。

フラッ 登山中に目まいがする様子(イラスト)●単独行は危険

男性は数年前、富士山麓(ろく)の忍野八海付近をサイクリング中、同行者の50代女性がバランスを崩して自転車ごと崖下に転落した経験を持っています。「声を掛けたら返事があり、119番をして救助を待ちました。単独行だったら転落の痕跡もなく、誰にも気づかれなかったかもしれません」

男性によると、アウトドア事故で多いのは、転倒や転落での打撲、裂傷、骨折▽熱中症、脱水症状▽ハチやヘビなどに刺されたりかまれたりする▽脳梗塞(こうそく)といった急性疾患――などといいます。

メンバーの男性会社員(62)もアウトドア事故の危険を語ります。「救助を求めようとしても、携帯電話はまずつながりません。運良く電波が入っても、場所を正確に説明するのは難しいことです。土地勘のない場所で助けてもらうのは大変なことなのです」

何とか救助されて病院に運ばれても、「自宅を離れた不慣れな土地では、リハビリを含めた治療方針を立てるのも不便です」。多くの場合、患者は応急処置のみで自宅近くの病院に移送されるか、現地で手術などを受けた後、自宅近くに転院することになります。手術後のリハビリのみに対応する病院は決して多くなく、転院先探しに苦労することもあるといいます。

●常用薬は予備持参

ハイキングなどのアウトドアスポーツを楽しむ中高年が増えたのに伴い、各地で山岳遭難救助の出動件数などが増えている。昨年の山岳遭難の件数は1988件(前年比158件増)で過去最悪だ。

長野県内では、今年の山岳遭難が5月末で69件(前年同期48件)と過去最悪のペースで増えている。同県の佐久地方事務所商工観光課は「サイクリングなど一般行楽客の救急搬送は、通常の救急出動と区別できない。行楽客の救急搬送は相当な件数に上るかもしれない」と話します。

では、万が一に備え、どんな準備が必要なのでしょうか。旅行者の健康と安全を考える「日本旅行医学会」(東京都)は、60代以上のアウトドアスポーツについて、単独行ではさまざまな危険性を自覚する▽切らしてはいけない常用薬は予備を持つ▽自身の健康状態をまとめた医療情報=別表=のメモを携帯する――などを呼びかけています。

登山の準備品を確認する様子(イラスト)

●連絡先など携帯を

同会専務理事の医師(63)は「緊急時に適切な医療を受けるには、必ず連絡が取れる緊急連絡先と、その人の医療情報が必要です」と指摘します。「情報がないと、緊急手術や投薬が必要な場合であっても、血液抗凝固薬の服用やアレルギーの有無を確認できず治療ができません。どんな薬を服用しているかは家族も知らないケースが多く、薬局でもらう『お薬手帳』から薬の名前を写し、病名と一緒に書いておくだけでも役立ちます」とアドバイスします。

◆携帯メモの記入事項

(1)自分の名前、住所、生年月日、血液型などの個人データ
(2)家族や親族、勤務先など最低3カ所の緊急連絡先(名前、続き柄、携帯電話番号などすぐに連絡の取れる手段を)
(3)医療情報
・治療中の病気や体質
 例:ぜんそく、高血圧、不整脈、糖尿病、ペースメーカー使用、重症アレルギーなど
・治療に影響の出る薬を服用しているか
 例:血液非凝固剤(ワーファリン、アスピリン、ブラピックス)など
・治療済みの病歴
 例:がん手術、子宮筋腫、人工関節、心臓バイパス手術など
 ◇その他持参するもの
・切らしてはいけない常用薬の予備(インスリン、抗てんかん薬、抗不整脈薬など)

毎日新聞生活報道部

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