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自然味わうアイリッシュビーフ

牛海綿状脳症(BSE)の発生で日本への輸出が止まっているアイルランドの牛肉が、早ければ年内にも解禁される可能性が出てきました。世界中で愛されているというアイリッシュビーフの味を、一足先に現地で堪能しました。

アイルランドの首都・ダブリンの人気ステーキ店「チョップ・ハウス」は毎夜、地元の客でごった返しています。誰もが楽しげにおしゃべりしながら、分厚い赤身肉を次々と口に運んでいます。

「アイルランドの牛は広い牧場で歩き回って育ちます。だから、肉が締まって、かむほどに最高の味が出ます」。オーナーシェフのケビン・アランデルさんが胸を張る。

アイリッシュビーフのイメージ(イラスト)●世界40カ国に輸出

英国の西隣にあるアイルランドの広さは、北海道とほぼ同じ。人口約460万人と小さな国ですが、実は生産量の90%が、世界40カ国に輸出されているといいます。

人気の源泉は、農地の8割を占める豊かな牧草、きれいな水と空気にあるといいます。さっそく牧場を訪ねてみました。

ダブリンから南西に30キロのキルディア郡にあるハートウェル牧場。600年も前から続く、老舗の牧場です。東京ドーム26個分にあたる120ヘクタールもの牧草地が青々と広がっています。アランデルさんの言葉通り、この広い牧草地を、わずか200頭の牛がのんびりと歩きながら草を食べていました。

「アイルランド人は牛に愛着を持っているんです。伝統と土地を先祖から受け継ぎました。環境を大切にして、次世代に受け渡したい」と、経営者のスティーブン・モリソンさん。「土地に負荷をかけない畜産を心がけています」

うん、おいしい アイリッシュビーフを食する様子(イラスト)●輸入再開に向け

かつては日本にも輸入されていたアイリッシュビーフですが、BSEの発生で、2000年12月に輸入がストップ。アイルランドはBSEの根絶に向け、欧州連合(EU)が定めた、世界でも最も厳しいと言われる規則に従って牛肉の生産過程を監視してきました。

日本の厚生労働省は、農林水産省の協力を得ながら現地調査を含めてデータを収集。食品安全委員会における評価のための提出資料が整ったとして、今年4月、輸入を再開した場合の安全性を評価するよう食品安全委に諮問しました。

日本への輸入が決まれば、まず期待されるのが焼き肉店で食べることです。かつてアイルランド牛は、日本では胃袋にあたる「ミノ」の人気が高く、焼き肉の需要が多かったためです。焼き肉食材専門卸会社の社長は「アイルランド牛のミノはやわらかく、他国の牛では味わえない」と、輸入再開を心待ちにしています。

ただ、地元のアイルランドでは内臓をあまり食べず、赤身肉をステーキ、ローストビーフ、シチューなどにして食べています。アイルランド食糧庁日本事務所は「輸入が解禁されたら、アイリッシュパブなどアイルランド料理を楽しめる店で、牧草牛ならではの歯ごたえのある赤身肉の風味を試してほしい」と「アイルランド流」の食べ方を勧めます。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2013年9月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。