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女性起用で 職場が変わる

結婚、出産後も働き続ける女性が増えるなか、女性が職場で活躍する場を広げようと、積極的に取り組む企業が注目されています。成果を上げている企業を訪ねてみました。

「男の職場」の印象が強い、機械の保守・点検業界。バーコードなどの付いた各種ラベルのプリンターを製造・販売するサトーホールディングス(東京都目黒区)は昨春、グループ会社でプリンターの保守・点検を担当するサトーシステムサポートに、女性エンジニアによる保守サービスチーム「カスタマーケアグループ」を創設しました。

女性エンジニアのイメージ(イラスト)●柔軟な顧客対応

「工具の入ったかばんは8キロもあって、腰を痛めて辞める人もいた」。女性社員(34)は、以前の職場環境を振り返りました。長時間かけての得意先回りなど、男性と同じ条件で働くことを求められ、体調を崩すなどで退職する同僚も少なくありませんでした。

一方で得意先は、商品タグを使うアパレル会社やリストバンドを使う病院など、女性が多い職場が少なくありません。男性上司が得意先に同行してみると、顧客に話しかけられたり質問を受けたりする機会は、女性の方が圧倒的に多いと気づきました。

「気軽に声をかけてもらえる女性の方が、顧客のニーズをくみ取れるかもしれない」。こうした発想が、女性に特化した組織の創設につながりました。

「女性は機械操作に苦手意識が強いけれど、私たちが行けば『女性でもできる』と思ってもらえる。日ごろから手入れして機械が安定稼働すれば、うちの製品を使い続けたいと思ってもらえるかもしれない」。社員のリーダー(35)は、女性エンジニアの強みをこう語ります。チームの結成後、契約を継続する件数は増えているといいます。

●時間より成果評価

働き方も変わりました。訪問件数に加え、いかに次の契約に結びつけたかなども見て人事評価するようになったため、無理に長時間働かなくても帰社時間を調整できるようになり、短時間勤務や産休をとる人も現れました。「仕事と家庭の両立は無理」と独身を通していた前出の女性社員も、グループ結成と同時に結婚しました。

同社は数年かけて、人材の多様化(ダイバーシティー)に取り組んできました。ダイバーシティーを推進する委員会の女性副委員長は「女性の活躍推進というと、女性が男性と同じに働いて初めて一緒、と思われがちだが、それぞれ強みを発揮し、出した成果で評価するよう社内を変えていきたい」と話します。女性エンジニアの比率は現在約3%ですが、将来は20%に引き上げるのが目標だといいます。

女性商品企画責任者のイメージ(イラスト)●経営戦略の柱に

日産自動車(横浜市)が昨秋発売した乗用車「ノート」は、同社初の女性の商品企画責任者を起用して開発されました。子どもを抱えて乗り降りしやすい大きく開く後部座席ドアをはじめ、女性のニーズに応える機能を取り入れたことが、幅広い消費者に受け入れられました。育児休業中の女性社員の車の使い方をビデオに撮るなどして、商品開発に役立てたといいます。

ダイバーシティーは日産でも重要な経営戦略です。意思決定層の多様化を目指し、女性管理職の育成を柱の一つと位置付けています。

きっかけは1999年、仏の自動車会社・ルノーとの提携でした。多くの女性部長が活躍していたルノーに刺激され、2004年にダイバーシティー推進の専門部署を設置。課長を目指す女性にキャリアアドバイザーがつき、女性の直属の上司らとともに育成計画を立て支援しています。女性の商品企画責任者も、こうした取り組みから誕生しました。

04年は1.6%だった女性管理職の比率は、今年4月には6.8%まで上昇。4年後には10%を目指すといいます。

同社ダイバーシティディベロップメントオフィスの室長は「最初は『ダイバーシティーって何?』という声もあったと言うが、女性管理職が増えて意識も変わった。グローバルにビジネスを展開しなければならない時に『何で女性?』などと言っている場合ではない」と語っています。

安倍政権は、20年までに指導的地位に占める女性の割合を30%以上とすることをうたいますが、厚生労働省の調査(11年)によると、企業の課長職以上の女性比率はわずか6.8%。活躍の裾野を広げるには、企業の継続的な取り組みが必要です。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2013年10月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。