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家族の変化 かみ合わぬ法律

自民党総務会長の野田聖子さん(53)は、政治家だった祖父の家を継ぐために養子となり、事実婚や不妊治療を経て、卵子提供によって50歳で長男(2)を出産しました。家族を巡る制度のあり方などについて聞きました。

――家族制度について思うことは。

◆家族は、法律で枠組みが作れないものだと思う。今の日本が窮屈に感じるのは「両親と子ども2人」というような平均値があるから。実際はそんな家庭はマイノリティーで「おひとりさま」が増えているし、子どもがいない夫婦もいる。もっと長い歴史があるのに、なぜか「昭和の家族」が日本の典型として、妄想のように貫かれている。

国の形はどんどん変化している。IT(情報技術)の進歩や、生殖補助医療で、今まで授からなかった命もこの世に誕生している。こうした技術がなかった明治時代の民法がまだ生きているが、今の私たちの生活とかみ合うわけがない。

昭和の家族のイメージ(イラスト)●論理なき別姓批判

――変わるべきところは。

◆親子も家族も、それぞれの形がある。その人が家族だと思う人と、不自由なく暮らせるようにしたい。その一つが選択的夫婦別姓だ。姓を選べないのは日本ぐらい。理由は非常に非論理的で「家族のつながりがなくなる」とか「(親の)面倒を見なくなる」とか。

私は島聖子から野田聖子に変わったけれど、キャラ(性格)は変わらない。名字はある種の目印。そんな大層なことではないと思う。

職場で旧姓を使う女性が増えて「通称を使えるからこのままでよい」という人もいるが、これは社内でのニックネームにすぎない。通称使用だったら、病院でも、契約手続きでも、全ての場所で使えるようにすべきだ。

――養子縁組あっせん法案の試案作成にも携わっている。

◆どんな形で生まれても、親が「実子だ」と言えば実子にできる法制度にしたい。男性は産むことはできないから、認知という自分の意思で父親だと実証する。女性も、自分の意思で母親になればいい。卵子提供を受けて出産すれば母親として届けられるのに、遺伝子を受け継いだ子どもを代理母の方に産んでもらうとできないのはおかしい。生殖補助医療についても、法律を作って国が認めて、親も子も堂々とできるようにしたい。

「(子どもを産むために)そこまでしなくても」と考える人も多いと思う。でもそれが「いいんじゃない」と認め合えるようになってほしい。どのように生まれた子どもでも、一生懸命育てている人が評価されれば、子どもを産む人も増えるのではないか。

家族のイメージ(イラスト)●受容力広げた家族

――いろいろな経験をされ、改めて思う家族の存在とは。

◆家族がいると、自分の潜在能力が引っ張り出される感じがする。
 私は「一人歴」が長いから分かるけど、一人が一番楽。自分とは違う人と一緒に暮らすと、我慢も必要だ。特に子どもはモンスターで、世の中は思う通りにはいかないと実感する。一人の時は狭量だった私が、キャパシティー(受容力)が広がり、かえって気が楽になった。

自民党は、個人を尊重するより家族を支える人たちを大切にする。でもそれは、家族を応援するにとどめるべきで、家族像を「こうあるべきだ」と決めてはいけない。

●五輪をチャンスに

――日本の近未来は、どうなっていたらいいか。

◆今までは「えっ」と思われたことが、当たり前になっていたらいい。「多様性を認める」というのも「多様性ってわざわざ言わなきゃいけないこと?」みたいな感じに。7年後の東京五輪は、宗教も家族のあり方も全然違う人々を受け入れる機会で、多様性を受け入れる一つのチャンスだと思う。

この国の特徴は、支え合うために「形」がいること。献血も、骨髄バンクも、東日本大震災の募金も、形ができれば支え合える。海外は寄付で建物が建つと、そこに自分の名前を付けられたりする。そのような、寄付をしたくなる形ができればいい。寄付をした人が名を残せて、褒められるような国。これも、多様性の一つだと思う。

■人物略歴
◇のだ・せいこ
1960年福岡県生まれ。上智大卒業後、帝国ホテルに入社。岐阜県議を経て32歳で衆院議員に。98年には郵政相に就任しました。子どもを支える「家族省」の創設や女性の積極登用などに取り組んでいます。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2013年11月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。