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次々自治体が「父子手帳」

育児に積極的に関わりたいパパ、それを望むママが増えています。そんなパパたちの取っ掛かりにと「父子手帳」を作製する自治体が次々と登場しています。手帳の広がりや内容の変化の背景には、地域の固有の子育て事情や育児環境の変化が見えてきます。

●体験談など満載

さいたま市は今年3月、父子手帳を改訂しました。以前は赤ちゃんの病気などを説明した教科書的なものだったが内容を一新。先輩パパたちの失敗談や苦労話など本音を満載し、育児を応援する地元の人たちの声も取り上げ、父親たちに外に出て人や自然と出合うことを薦めています。
 市の委託を受け、手帳の企画・編集を手がけたNPO法人「ハンズオン! 埼玉」の担当者(47)は「自分が育児書で一番読んだのは体験談。家庭の事情はさまざまなので『こうすべきだ』というより、いくつか例があった方が参考になると考えた」と編集方針を明かしてくれました。

父子手帳 お父さんと赤ちゃんの様子(イラスト)担当者は、手帳に父親たちの生の声をいかすため、市内のパパグループ「さいパパ」に協力を求めたといいます。

さいパパのメンバーは毎月1回、水曜日の夜に「しゃべりばナイト」を開いている。4月の会をのぞいてみると、十数人が集まり、悩みや本音を語り合っていました。

「『あなた0点!』って妻に言われたんですよ」「子どもの熱が下がらなくて。心配なんだけどどうしていいか……」「娘の幼稚園の卒園式で、妻にはちゃんと写真やビデオを撮れって言われる。ぼくは生で娘を見ていたいのに」――。

参加者の一人は「ここに来ると仕事以外の人と会える。子どもをきっかけに世界が広がった」とパパ友の大切さを語ります。

さいたま市は転勤族や「埼玉都民」といわれる都心への通勤者が多く、隣近所のことをよく知らない父親たちもいる。担当者は「子どもと一緒に散歩に出て、地域の人たちと触れ合ってほしい」と手帳が地域に目を向けるきっかけになることを期待しています。

●漫画で解説も

「どぎゃんしたらよかと!(どうしたらいいのか)」。赤ちゃんがやってくることに対する戸惑いをお国言葉を交え、正直に表しているのは、熊本県が発行する「すきすきパパ手帳」。「遊びの中で『がまん』や『ルール』を教えることもパパの大切な役割」として社会性を身につけるための遊びを紹介しています。

「まんが王国」を自任する鳥取県は、パパの存在意義や職業別の悩み、育児ストレスなどを30話の4コマ漫画で解説。それぞれの解決策を示しています。

保育所の待機児童が多い東京都の「父親ハンドブック」は、保育所の情報が詳しいことが特徴です。年度途中での入所が困難とみられる場合「育児休業を早めに切り上げ、4月に職場復帰する」など具体策を提案しています。

パパ友の集いの様子(イラスト)

●育児参加不可欠に

行政機関向けに1994年から「父子健康手帳」を販売している東京法規出版(東京都文京区)によると、共働き夫婦の増加や母親の産後うつなどが問題視され、父親の育児参加を求める声が高まっていたのが手帳の刊行のきっかけといいます。

内容も、初めは母親のメンタルヘルスの対処法や家事分担など、育児する妻への支援が中心だったが、後に子どもと遊ぶなど男性の特性を生かした育児の関わり方や、ワーク・ライフ・バランスについて考えてもらうコーナーが加わりました。

同社編集部の担当者は「核家族化と地域社会の崩壊で、育児に身近な支援を受けにくくなっている中、共働き家庭の増加で、父親の育児参加がないと子育てが成り立たなくなっている現状がある。自治体としても育児支援として父親への啓発が必要と考えているのではないか」と指摘します。

父子手帳を比較研究している産後サポート会社の代表(33)は「多くの父子手帳には『育児は楽しい』と書かれているが、母親が一人で育児・家事を担ったら、どれだけ負担になるかなど、さまざまな視点から書かれた手帳が増えてほしい」と期待しています。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2014年6月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。