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機械式立体駐車場 注意点は

マンションなどに普及している「機械式立体駐車場」で重大事故が2007年度以降少なくとも26件発生し、10人が死亡しています。消費者安全調査委員会(消費者事故調)はこのほど、機械式立体駐車場事故の調査報告書を公表し、安全対策の推進を求めました。子どもが被害に遭うケースも少なくなく、報告書に示された事故の典型的な事例を基に、気を付けるべき点を学びたいと思います。

●装置内に子どもが

機械式立体駐車場は車を乗せる台(パレット)を動かして車を保管します。狭い土地でも多くの台数が収容可能で、マンションなどで活用されています。ショッピングセンターなどにある目的の場所まで自走していく立体駐車場と異なり、装置自体を動かすので事故が起きています。

(1)3段のパレットが昇降する駐車場のケース
幼児を連れた保護者がマンションで車を出す操作をしていたところ、地下から上昇してくる途中のパレットに幼児が乗り移り、転倒。幼児は上昇してくるパレットと、隣のパレットとの間にあるフレームの間に挟まれて死亡しました。

この駐車場は操作ボタンを押し続けている間だけ装置が動く仕組みでしたが、押し続けなくても済むようにボタンを固定する器具が使われており、すぐに止めることができませんでした。

(2)エレベーター方式駐車場のケース=イラスト<下>
マンションの駐車場で保護者は装置内に駐車し、同乗していた幼児を降ろしました。幼児が装置の外に出て行ったと思い、急いでエレベーターの扉を閉めましたが幼児はまだ中にいることに気付きました。扉を開けようと出庫操作ボタンを押したところ、車の向きを変えるためパレットが持ち上がって回転を始め、幼児はパレットと奥の壁の間に挟まれて死亡しました。

機械式立体駐車場で子供が遊んでいる様子(イラスト)●設計見直しも提起

機械式立体駐車場は運転者以外は装置内に立ち入らないことを前提として設計されているが、実際は小さな子どもを連れていたり、駐車場の前に人や車の往来が多く子どもを1人にするのが難しかったりするケースも多くあります。

事故調は「事故が発生しても利用者の不注意や誤使用が原因とされてきた」と指摘しました。間に挟まれることがないようにパレットとフレームとの隙間(すきま)をなくしたり、パレットと壁との間に隙間のスペースを作ったりするなど、そもそも危険が発生しないよう装置自体の設計の見直しを提起しました。また、マンションの駐車場は駐車場法の対象外だが、重大事故26件のうち半数はマンションの駐車装置で起きていることを踏まえ、早急な法的整備の必要性を提言しました。

メーカーで作る業界団体「立体駐車場工業会」も、前の利用者が出入庫の作業を終えないと次の利用者が操作できない機能を設けるなど、技術基準の見直しに取り組みます。

専門家の大学名誉教授(安全学)は「報告書自体は機械式立体駐車場事故についてきちんと調査していると評価できる。その提案や意見の内容は、国土交通省が既に公表しているガイドラインと一致しており、同省と消費者庁が協力して安全対策に取り組むべきだ」と指摘。一方で「利用者にも立体駐車場を安全に使う責任がある」と話し、消費者庁が今後、注意喚起を徹底するよう求めました。

きちんと点検 立体駐車場の様子(イラスト)●危険箇所を知る

既に設置されている設備を安全に使うためには利用者の心がけが鍵となる。ボタンを押し続ける固定具を使わない▽手をつなぐなどして子どもが装置内に入ることを防ぐ――などに注意しましょう。柵や操作盤の新設などは簡単に実現できないかもしれませんが、例えば、マンションの管理組合などが製造者や保守点検事業者を呼んで危険箇所や安全策を話し合うなど、身近な取り組みから始めたいものです。

◇機械式立体駐車場 利用時の注意点

・運転者以外は中に入らない
・子どもが駐車場に近づかないよう、常に手をつなぎ目を離さない
・操作盤に他人の鍵が挿入されている時は使用中。絶対に操作をしない
 2段方式・多段方式の場合
・死角に人がいないか、隅々まで確認
・操作盤の昇降ボタンを器具などで固定して使用しない
 エレベーター方式の場合
・人感センサーに頼りすぎず、自分の目で装置内に人がいないことを確認
・閉じ込めなど不測の事態が起きたら、すぐ非常停止ボタンを押して緊急連絡先に伝える
 ※立体駐車場工業会などの資料から作成

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2014年9月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。