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Q 子宮体がん検診は必要ですか

映画「敦煌(とんこう)」のヒロインでデビューした女優の中川安奈(あんな)さん(享年49)が子宮体がんで亡くなったと聞き、同世代の私としては人ごとではありません。これからは子宮頸(けい)がんだけでなく子宮体がんの検診も必要ですか。(50歳・女性)

もしや、子宮がんを心配する様子(イラスト)A 月経異常など症状あれば受けて

子宮がんには、子宮の頸部に発生する子宮頸がんと、子宮内膜から発生する子宮体がんがあります。子宮頸がんの大半は扁平(へんぺい)上皮がんで、20代から発症し始め、30〜40代で急増します。一方、子宮体がんの約95%は腺がんで、発症のピークは50代です。閉経前の女性に少ないのは、子宮内膜が月経の度にはがれ落ちるからです。子宮頸がんは性行為でヒトパピローマウイルス(HPV)に感染し、中でも、高リスクHPVによる持続感染の結果、起こります。そのため、子宮頸がんはHPV感染を予防するワクチン開発が進み、子宮頸部の細胞診と合わせて行うことで、将来的には子宮頸がんゼロの国の実現も夢ではありません。

一方、子宮体がんはホルモン依存性のがんと言われています。日本産科婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン」は、子宮体がんの高リスク因子として、未婚▽不妊▽閉経後▽初婚・初妊年齢が高い▽妊娠・出産数が少ない▽30歳以降の月経不規則▽エストロゲン服用歴▽糖尿病の既往▽高血圧の既往▽肥満――などを挙げています。これでは多くの人が何か思い当たる節があるでしょうが、子宮頸がんと違い子宮体がんは、定期検診の有効性が疑問視されているのです。

子宮体がんの検診の様子(イラスト)子宮体がんの検診は、子宮腔(くう)内に器具を挿入し内膜の細胞を採取します。これを内膜細胞診と言います。擦過法と吸引法がありますが、内膜細胞診でがんの存在が否定されたとしても、出血やおりものなどの症状があり、超音波による画像診断でがんが疑われる場合は、さらに子宮内膜組織診が必要です。そのため、子宮体がんの検診として一般的に行われている内膜細胞診の評価が分かれています。

子宮体がん検診は、6カ月以内に不正性器出血(一時的出血や閉経後の出血など)、月経異常(過多月経、不規則な月経)、褐色のおりものがあった、などいずれかの症状がある女性に行うのが妥当とされています。年齢を考慮せず症状のない女性に検診をすることは有効性が確認できていないうえ、費用対効果の点から容認されていません。

結論を急げば、定期的な検診が早期発見につながると言うには根拠が乏しいのです。子宮体がんは病状が進行していない早期の段階で出血があることが多いので、少量でも出血があったら速やかに医療機関を受診することが早期発見につながります。「産み終え世代なのに、閉経したのに産婦人科に行くの?」などとのんきに構えないことが大切です。(日本家族計画協会クリニック所長、北村邦夫)=毎日新聞「くらしナビ」面に毎週日曜掲載

毎日新聞生活報道部

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