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あと10分 体を動かそう

たかが運動不足とあなどってはいけません。「全死亡原因の約1割が運動不足」というデータもあるくらいに身体を動かすことは健康維持に大切なことです。「1日にあと10分、体を動かそう」というプラス10運動が広まり始めています。

●毎日、こまめに

神奈川県藤沢市遠藤の集会所に昨年秋、60歳以上のお年寄り約30人が集まってきました。2013年からスタートした「ふじさわプラス・テン体操」を行うためです。「特別に頑張らなくてもいいんですよ。あと10分、いつもより多く体を動かすだけでも健康によいです」。同市保健医療センターで健康運動指導士の男性はこう説明して、高齢者でも簡単にできる体操を始めました。

PLUS 10 あと10分体を動かそう 体操のイメージ(イラスト)まず、腕を組んで上体を左右にひねります。次に両腕を腰にあて、腰をぐるりと回します。その後、椅子に座って体を左右に揺らします▽音楽を聴きながら、ストレッチやバランス運動――など。楽しく行うのが特徴で、お年寄りたちは「これならできそう」と笑顔で実践していました。

プラス・テン体操は、慶応大大学院健康マネジメント研究科と同市保健医療センターが共同で編み出した。そのアドバイザー役でもある同研究科の准教授は「運動といっても、激しいスポーツをする必要はありません。毎日、こまめに体を動かすことが重要です」として、散歩、掃除、庭いじりなどの身体活動を毎日行うことを勧めます。

●がん予防にも効果

世界保健機関(WHO)の報告によると、世界的には全死亡原因のうち、運動不足(身体活動の不足)は喫煙、高血圧、高血糖に次いで高い割合を占めます。日本人に関するデータでは、運動不足による死亡原因は喫煙、高血圧に次いで多くなっています。

しかし、運動不足の傾向は改善されていません。例えば、厚生労働省の調べでは、1997年当時は成人男女の1日当たりの平均歩数は約7700歩ありましたが、09年は約6850歩と約10年間で約850歩も減りました。車の普及などで歩くことが減ったのが主な要因です。准教授は「体を動かすことは、心疾患、糖尿病、高血圧、大腸がん、閉経後の乳がんなどに予防効果があります。まずは1日にあと10分間、余分に体を動かすことをやってみましょう」とアドバイスします。

いたっ いてっ 足腰が痛む様子(イラスト)●腰や膝、痛み改善

体を動かす取り組みは島根県雲南市でも進んでいます。同市の健康づくり拠点となる「身体教育医学研究所うんなん」は09年から全市的な取り組みとして、市民に体を動かしてもらう活動を続けています。きっかけはアンケート調査で60歳以上の約4〜5割の人が腰や膝に痛みを感じていることが分かったからです。目標は1週間に150分以上の歩行や毎日のストレッチなど。地元のケーブルテレビや音声放送、歩くイベント、地区の運動会などさまざまな方法や機会で運動の重要性を訴えています。

行政が押しつけがましく運動を呼びかけても効果は低いものです。雲南市では地域住民が中心となって「スタート地点に集まる必要なし。途中からの参加も帰宅もOK」など柔軟なやり方をしています。

同研究所主任研究員は「腰痛や膝の痛みはじっとしているのではなく、体を動かすことで改善されます。参加者は徐々に増えています」と話し、成果を出つつあります。

厚労省は2年前から、アクティブガイドという名の国民向けパンフレットで、18〜64歳の人は1日に約60分、65歳以上の人は1日約40分の身体活動をしようと呼びかけています。身体活動を増やすことが、糖尿病や脳血管疾患だけでなく、がんや認知症、膝など関節症の改善をもたらすことが世界中の研究報告で分かってきたからです。

身体活動と健康問題に詳しい東京医科大主任教授(公衆衛生学)は「運動不足が糖尿病やがんなどさまざまな疾患の大きな要因を占めているのに、その危機意識が足りません。雲南市のような例を全国に広めていくことが必要です」と話しています。

年末から運動不足だったり、寝正月だったりした方は、いまからでも体を動かすことを始めてみましょう。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2015年2月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。