お役立ち情報/情報ものしり帖

介助ガイドが旅をサポート

年を取っても、障害があっても旅をしたい――。そんな願いに応えてくれるサービスが増えています。ヘルパーや看護師ら有資格者や独自の研修を経たガイドが介助のために同行したり、バリアフリー情報に基づいて旅を企画したりしています。「思い出のあの地に」「念願のあの場所に」と希望する高齢者や、親孝行をしたいという家族らの願いを後押ししています。

●古里の法事に出席

NPO法人ジャパン・トラベルボランティア・ネットワーク(東京都多摩市)は、障害などがあってもその人が希望する旅ができるようサポートしています。昨年11月末に請け負ったのは千葉県野田市の高齢者施設で暮らす要介護5の女性(85)。同NPOの「旅行介助ガイド」として看護師の女性(67)が付き添いました。古里の滋賀県米原市である法事に出席する1泊2日の間、食事や排せつの介助の他、就寝中に体の向きを変えることを任されました。

思い出のあの地に・・・介助ガイドと一緒に車いすで旅行する様子(イラスト)当日、女性は長女(54)に付き添われて介護タクシーで東京駅に着き、ガイドと合流。新幹線に乗り込む前、「古里に戻るのは4年ぶり」と話をしていると、懐かしさがこみ上げたのか涙を拭いました。

翌日、東京駅に戻ってきた際の女性の表情は一転して晴れやかでした。子どもたちや親戚に会い、最後には「帰りたくない」と話したといいます。「兄弟がNPOのことをインターネットで見つけて利用した」という長女も「最初は家族で母をみればいいと思っていたけれど、笑顔を見てほっとしました。介助があるおかげでゆっくりとだんらんの時を過ごせました」と満足そうです。親子はすっかり打ち解けたガイドに向けて笑顔で手を振り、別れを惜しみながら帰っていきました。

このNPO法人はこれまで、車椅子利用者、視覚障害者、聴覚障害者、透析の患者、精神・知的障害者らさまざまな人の旅をサポートしてきました。代表は「地球のどこまでも、その人のニーズに合った旅を提供したい」と語りました。介助料の目安は1日1万9000円。

また、ユニバーサルデザイン(UD)に配慮した東京近郊の日帰り旅「UD・FUN旅」も隔週ペースで週末に催しています。ガイドが付き、エレベーターや多目的トイレなどの場所も事前に把握しています。

海外ツアーも不定期で企画する。「戦後70年の世界一周」をテーマに4月に実施するベトナム戦争の現場をたどる5泊8日の旅は参加者を募集中です。代表は「行きやすいところが先ではなく、まず目的地があってツアーを提示したい」と話しています。

バリアフリーツアー 介護旅行の様子(イラスト)●「親孝行」依頼多く

介護旅行専門会社「あ・える倶楽部」(渋谷区)も体の不自由な人の旅行や外出を同社の「トラベルヘルパー」(外出支援専門員)が手伝っています。墓参りや思い出の場所、温泉に行きたいという希望が多いといいます。親孝行のための旅行の依頼も多くあります。価格の目安は介護保険の「自立」〜「要支援」程度で1日2万1600円、要介護3〜5程度では2万7000円。

一度利用すると旅に出る楽しさを感じ、「次も行こう」と目標ができてリハビリに精が出るためか、体の機能が向上する人も少なくないといいます。同社の社長は「70代、80代で『もう年寄りだから……』と言う方がいますが、要介護5の106歳の方が泊まりがけで京都旅行に行ったり、97歳で水着を買って古里の千葉の海に入る方もいたりします。やり残したことを少なくしてほしい」と話しています。

また、クラブツーリズムやエイチ・アイ・エスなど大手旅行会社もバリアフリーに配慮したツアーを売り出しています。通常より時間に余裕を持たせた行程や、リフト付きバスの利用、こまめなトイレ休憩などに気を配っています。

●雑誌で情報収集

個人で旅行に行く場合、旅行雑誌「じゃらん」の「車イス・足腰が不安な方のバリアフリー旅」(リクルートホールディングス、690円)は参考になります。人気観光地の車椅子の移動に適したルートやホテルのバリアフリーの状況などを紹介しています。

社長は「本人が介護を受けていることで申し訳なさそうにするのはもったいない。もっと楽しんでほしい」と背中を押します。また、冒頭のNPO法人の代表も「人生はだんだん良くなっていかなくちゃだめだと思います」と話します。

年齢を重ねたりしてできないことが増えても、旅をサポートする選択肢も増えています。いつまでも旅に出かける楽しみを持ち続けられそうです。

◇各社の問い合わせ先
・NPO法人 ジャパン・トラベルボランティア・ネットワーク 042・372・8501
・あ・える倶楽部 03・6415・6480
・クラブツーリズム バリアフリー旅行センター 03・5323・6915
・エイチ・アイ・エス バリアフリーデスク専門ダイヤル 03・5360・4761

毎日新聞生活報道部

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