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面倒な魚 加工品で手軽に

魚の消費の減少が止まりません。魚が健康によいことは分かっていても、料理のときにさばいたり下ごしらえをしたりするのが面倒だと敬遠されているようです。漁業生産者で組織した全国漁業協同組合連合会(全漁連)や水産庁は手軽でおいしい魚の加工品のPRなど魚の消費アップに懸命になっています。

●ピーク時の7割

日本人の魚介類の消費量は、ピーク時の2001年度には1人あたり年間約40キロでしたが、13年度は約27キロと約3割も減少(農林水産省の食料需給表)しています。肉類との比較では、05年までは魚介類の消費量が肉類を上回っていましたが、06年にほぼ同量になり、それ以降は、08年を除き、肉類が上回るようになりました(厚生労働省の国民健康・栄養調査)。

家庭で消費している魚種別の購入量を01年と11年で比べると、イカ、マグロ、サンマ、サケ、アジ、サバなど大半の魚の購入量が減り、増えたのはブリだけでした。

生産者向けに各種情報を提供している一般社団法人大日本水産会(東京)が11年に行ったアンケートでは、子育て中の母親の95%は「健康によいので、自分も子供ももっと食べるようにしたい」と答えています。こうした声があるものの、現実には魚の消費は伸びていません。その背景には、料理に手間ひまがかかることのほか、対面販売で魚の料理法などを教えて売る鮮魚小売店が過去30年間で約7割も減ったことなどが挙げられます。

おやつにカツオ かつおスライスを食べる子供の様子(イラスト)●おやつにカツオ

こうした中、水産庁は3年前から、「魚の国のしあわせ」プロジェクトをスタートさせ、ファストフードのように手軽に食べられる魚の商品をホームページなどで紹介しています。その柱の一つが、全漁連などが行っている国産魚ファストフィッシュ商品コンテストです。

昨年のコンテストでは6商品が入賞しました。グランプリに輝いたのは鹿児島市の「丸俊(まるとし)」(099・266・2211)が生産・販売する「そのまま食べるかつおスライス」(45グラム5袋セットで1730円)。半生タイプのカツオぶしを薄くスライスしたものです。しょうゆの風味が利き、酒のさかなのほか、子どものおやつ、おにぎり、サンドイッチ、野菜サラダの材料になります。カツオには健康によい油のドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)が豊富に含まれています。

準グランプリには青森市の「田向(たむかい)商店」(017・741・0936)が製造・販売する「鮫(さめ)の蒲焼(かばやき)」(1パック324円)が選ばれました。サメの種類はアブラツノザメ。日本周辺にいる約120種類のサメの中でも、味がよいことで知られ、青森では伝統食材のひとつです。サメもDHAやEPAが豊富です。電子レンジで温めるだけで食べられます。

審査員の1人は「カツオのスライスは、ぼそぼその食感かと思ったら、しっとりとやわらかく絶妙な味でびっくりした。サメのかば焼きもふっくらとしてやわらかくおいしい。これを食べれば、サメはおいしいというイメージが定着するのでは」とファストフィッシュの普及に期待しています。

このほか、全漁連は地元の漁師たちが選んだ本当においしい魚料理を紹介するプライドフィッシュ料理コンテストも実施。昨年は静岡県伊東市の「いとう漁協」直営店で提供しているキンメダイのだし茶漬けがグランプリとなりました。

味の素も、主婦が手軽に魚料理ができるよう、3種類のみそを使ったサバ用煮魚ソースとサケ用バターしょうゆソースを販売し始めました。

鮫の蒲焼(イメージイラスト)

●心筋梗塞リスク減

魚と健康に関しては、日本人を対象とした大規模な臨床研究報告があります。週に8回以上魚を食べている人は1回程度しか食べない人に比べて、心筋梗塞(こうそく)の発症リスクは半分程度になります。週に2回食べるだけでも、心筋梗塞のリスクは下がる傾向があります。魚の脂に含まれるDHAやEPAが動脈硬化を抑えていると考えられています。

予防医学に詳しい大阪大大学院教授(公衆衛生学)は「動脈硬化による心臓病に対して、これほど強い作用をもつ食品は、魚のほかに報告されていない」と魚を食べる習慣は健康によいと指摘しています。

ファストフィッシュなどの問い合わせは全漁連広報担当(03・3294・9629)。

毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2015年3月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。