お役立ち情報/情報ものしり帖

特殊詐欺 被害者ほど用心を

息子や役所などの職員になりすまして電話に出た人を不安にさせ、お金をだまし取る詐欺の被害が収まりません。警察庁によると、2014年の「特殊詐欺」の被害額は約559億4000万円(前年比14%増)で過去最悪。中でも65歳以上の高齢者の被害が約8割を占めています。「自分は大丈夫」と思っている人や、過去に詐欺的商法などの被害に遭っている人こそ、改めて「悪質な手口」を確認して備える必要があります。

助けてほしい! まさか?息子が・・・オレオレ詐欺の電話口のイメージ(イラスト)●「手渡し」増加

これだけ被害が報じられ認知度が高まっても、被害は減るどころか増えています。立正大の教授(社会心理学)は、「『振り込め詐欺』といっても振り込ませるのでなく、手渡しか、レターパックや宅配便で送らせる手口が増加している。『オレオレ詐欺』のシナリオは変化しているし、それ以外の詐欺はその名称からどういうものなのかイメージしにくい」として、的確な注意喚起になっていないと指摘しています。

改めて、最近の注意すべき主な手口をおさらいします。

▽オレオレ詐欺

息子や孫を名乗る者から「かばんをなくした」「中には携帯と会社の小切手が入っていた。このままだと取引に間に合わないから立て替えてほしい」などと助けを求められます。求められるままに振り込んだり、郵送したり、待ち合わせ場所に現れた「会社の同僚」や「上司」と名乗る人に現金を渡したりしてしまいます。

▽金融商品詐欺

送られてきたパンフレットや、電話によって未公開株や社債の取引を誘われます。金を払ったあと、全く実体のない企業だと分かります。

例えば、A社から勧誘された後に、B社から「代わりに買ってくれれば高く買い取る」と誘われる「代理購入型」があります。また、強引に申し込みさせたり、名義貸しなどの事実をでっち上げたりして払い込ませる「どうかつ型」、過去の投資の損失を取り戻すという「被害回復型」などがあります。

▽還付金詐欺

役所の職員をかたる者から「医療費(保険料、税金)を還付します。ATM(現金自動受払機)まで行ったら携帯で電話して」と電話がかかってきます。指示を受けながらATMの画面を操作すると、気付かないうちに犯人側の口座に振り込みさせられています。

●性格まで調べ済み

警察が詐欺グループから押収した名簿には、「訪問販売で高額商品を購入した60歳以上の人」「訪問販売の布団購入者」「高額宝石購入者」などがありました。さらに、「留守」「1人暮らし」「最初は無愛想だがしばらくすると話に乗ってくる」など、電話をする中で得た情報が書き加えられていました。

まかせて下さい。公的機関の人間を装う詐欺師のイメージ(イラスト)警察庁の特殊詐欺対策室長は「『オレオレ詐欺』といっても息子の名前はもちろん、いろいろな情報が知られていると思った方がいい」と警告します。こちらの情報を知っているからといって息子や公的機関の人間だと信用してはいけません。

前出の教授も過去に被害に遭った人について「何度も狙われるはずがない、もう忘れたいと思うかもしれないが、再び狙われる可能性は逆に高いのです」と注意します。

●偏見が予防の妨げ

警察庁の調査(12年)によると、特殊詐欺の被害に遭った254人のうち、「詐欺の注意喚起や情報提供を受けた経験がある」という人は218人(85.8%)もいました。

教授は「被害者は羞恥心、現実逃避などつらい気持ちの中で自分を責めている」と指摘します。
 他の犯罪被害なら「お気の毒に」と言われます。しかし、振り込め詐欺の被害者の場合、「だまされた方が悪い」「あんな詐欺に引っかかるわけがない」と偏見があります。その偏見によって被害者が家族にも打ち明けられなかったり、「私は大丈夫」という意識を生んだり、社会全体で取り組むきっかけを奪ったりしていないか、と教授は問いかけています。

犯人グループは息子、警察官、弁護士などさまざまな役柄を使い分け、巧妙なストーリーを展開してだましにかかる。どのような点を意識すればよいのでしょうか。教授は特殊詐欺を「ニセ電話詐欺」と総称してその相手が本物かどうか確かめる必要性を説き、「お金がかかることについては、楽をしてはいけない」と戒めます。

その上で、「ちょっと注意すれば防げると思っていないだろうか。この詐欺は10年以上なくなっていない。相手を軽く見てはいけない」と用心を促しました。


■ニセ電話を見破るためには

  • 相手から言われた電話番号ではなく、知っている本人の番号や電話帳で調べた番号に電話して確認する
  • 家族しか分からない事実を尋ねてみる
  • 家族で「合言葉」を作っておく

毎日新聞生活報道部

Copyright© 2003 - 2015 Kyoei Fire&Marine Insurance Co.,Ltd. All rights reserved
※掲載されている情報は2015年3月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。