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正しくつきあう市販薬


天候が不順な季節。寒暖の差が激しくなって体調を崩しやすくなりがちです。症状が軽ければ市販薬のお世話になることもあるかと思います。ただ、例え少量でもアルコールと一緒に飲んではいけない薬もあります。効果的に、そして安全に薬と付き合いたいものです。

●肝障害を引き起こす恐れも「頭が痛い!」市販薬に手を伸ばす男性(イラスト)

「胃に不快感があった30代男性は、胃酸の分泌を抑える市販薬を数カ月間も飲んでいたが、実は進行性の胃がんで、気付いた時は手遅れになっていた」「風邪薬を服用し目が少し充血した歯科医が、その後も飲み続けたところ3日後に失明した」――。

いずれも、「八王子薬剤センター」(東京都八王子市)が把握した実例です。同センターは「市販薬を信用しきって病院に行かない人がいますが、大間違いです。そもそも薬は正しく飲まないと『毒』になると認識すべきです」と強調しています。

ある薬剤師さんは「薬局の現場にいると、薬を雑に扱う患者さんがよく分かります」と言います。なかなか症状が治らないからといって用量を守らずに飲んだり、症状が出るたびにいいかげんに飲んだりしている例があるのだそうです。

比較的よく利用する市販薬といえば風邪薬。ちょっとだるかったり、頭やのどが痛かったり、鼻水が出始めたりすれば「風邪かも」と思って、薬局に駆け込むことも多いでしょう。でも、薬剤師さんは「風邪薬は意外と怖い」と注意を促しています。服用の仕方を誤れば、肝臓に負担がかかります。

大半の風邪薬に使われ、解熱鎮痛効果があるアセトアミノフェンは、服用量が多ければ、肝臓で解毒しきれずに残ってしまい、副作用として風邪と初期症状が似ている「薬剤性肝障害」を引き起こします。肝細胞や胆管細胞が破壊され、漏れた胆汁で肝臓や胆管が詰まるもので、「風邪が治らない」と勘違いしたまま服用を続けると、悪化していくこともあります。「ほとんどの風邪は5日もすれば治ります。治らない場合は割り切って病院に行くのが原則」とのことです。

●酒と併用は厳禁

風邪をひいた際、体を温めるために少量のアルコールを飲むことには注意が必要です。先の薬剤師は「風邪薬とアルコールの併用は絶対に避けてほしい。ひどければ肝臓に大きな障害が出ます」と注意を呼びかけています。

アルコールは肝臓に集められ、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドに変わりますが、これはたんぱく質や脂質とくっつき、肝臓の細胞を通常どおりには機能しなくしてしまいます。さらにアルコールの働きで、腸の細菌が出すエンドトキシンという毒素も肝臓に集まって来ます。そうなると肝臓の免疫システムが作動して化学物質が出ますが、これがエンドトキシンだけでなく肝細胞も破壊してしまうのです。

つまり、風邪薬に使われているアセトアミノフェンによる薬剤性肝障害と、アルコールによる肝臓細胞への影響の二つによって、肝臓が大ダメージを受けることは必至なのです。

●栄養ドリンクにもご注意を

アルコールに関する盲点は栄養ドリンクです。「風邪の時は栄養を取った方がいい」と、気軽に飲んでしまいがちですが、栄養ドリンクの中には微量であってもアルコールが含まれているものもあります。薬剤師さんは「栄養剤を摂取したいなら、ドリンクではなく錠剤のビタミン剤やカプセル入りの生薬を飲んだ方がいいでしょう」とアドバイスしています。ぬるま湯でお薬を(イラスト)

薬を何で飲むかにも気をつけたいです。緑茶は殺菌作用もありますが、カフェインが入っているので不向きです。コップ1杯(100ミリリットル)くらいの、やや多めの水かぬるま湯を用意し、薬と一緒に飲み切るのが良いとか。水分がないと食道や胃に薬が張りついて潰瘍になります。水が少ないと薬の効き始めが遅くなるし、胃にとどまってやはり潰瘍の原因になるそうです。

安易に使ってはならない市販薬。「信頼できるかかりつけの薬剤師を身近につくり、現状を伝えて的確なアドバイスをもらうのが一番」だそうです。それぞれの薬の注意事項をよく理解して正しく付き合いたいものです。


毎日新聞生活報道部

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