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トランス脂肪酸が気になる?


マーガリンなどに含まれ、心筋梗塞(こうそく)のリスクを高めるとされて肥満などとの関連が指摘されている脂質「トランス脂肪酸」の使用規制が米国で始まります。今後、日本でも規制はありうるのでしょうか。日本人の摂取状況はどうなっているのでしょう?Q&A形式で解説しました。

●米国で規制開始へ美味しそうにケーキを食べる外国人(イラスト)

Q トランス脂肪酸ってどういうものですか?

A 魚の脂やオリーブ油のような「不飽和脂肪酸」の一種です。不飽和脂肪酸は、血液中の中性脂肪などを調整する働きがあるといわれています。

Q 自然に存在するものなのですか。

A 天然のものと、工業的な加工段階で生じるものの2種類があります。バターなど乳製品や肉類に含まれるのが天然のものです。これに対し、常温で液体の植物油に水素を添加して半固形化したマーガリンやショートニングなどに副生成物として含まれるものが「硬化油」(部分水素添加油)と言われるトランス脂肪酸です。このほか、植物油を脱臭精製する際にもわずかにできます。

Q 米国政府はどちらを規制するのですか。

A 硬化油です。米国ではこれまで硬化油は塩や砂糖のような食品と同等の扱いで、「一般に安全とみなされる食品」(GRAS=グラス=Generally Recognized As Safe)に分類されていました。しかし、硬化油を過剰に取ると心疾患などのリスクを高めることが分かり、米食品医薬品局(FDA)は今年6月、「2018年6月以降、硬化油をグラスの対象にしない」と発表し、それがニュースとして広まったのです。

Q 「グラス」の対象でないとはどういう意味でしょう?

A 保存料のような食品添加物と同じ扱いになると考えればよいでしょう。つまり、事業者が硬化油を含む食品を使う場合には、使用目的や使用量などを決めて、米政府に申請し、認可がおりれば、使用できます。トランス脂肪酸全体が全面的に使用禁止になるわけではありません。そのあたりに誤解があるようです。

●摂取少ない日本人

Q 日本人はどの程度、摂取していますか?

A 物差しになるのは世界保健機関(WHO)のデータです。WHOはトランス脂肪酸の1日あたり摂取量を総エネルギー量の1%未満に抑えるよう勧告しています。米国人は減ってきたとはいえ、まだ約2%と高いのに対し、日本人はわずか約0.3%です(内閣府食品安全委員会調べ)。日本ではどの年齢層でも心疾患のリスクは低く、いまのところ消費者庁や食品安全委員会など政府内に規制を求める声は上がっていません。

トランス脂肪酸はどんな食品に含まれているのだろう?(イラスト)Q でも何だか気になります。どんな食品に多く含まれていますか。

A マーガリンやショートニングなどが使われている食品、つまり、ケーキ、ドーナツ、菓子パン類、揚げ物などです。こうした嗜好(しこう)品に含まれる硬化油を減らすため、消費者庁は4年前、トランス脂肪酸の情報開示指針を示し、事業者に低減するよう促しました。その結果、どの食品でも大幅に減っています。

●使用食品が減少

Q 具体的な減ったケースは?

A たとえば、日本ケンタッキー・フライド・チキンではすでに揚げる油に含まれるトランス脂肪酸(硬化油)は100グラムあたり0.3グラム以下となり、消費者庁の指針で「含有量ゼロ」と表示してもよいレベルになっています。山崎製パンのパン類でもケンタッキー並みに低いレベルです。地域スーパーと自主企画商品(プライベートブランド)を開発するシジシージャパンのように、水素添加をしていないマーガリンを販売するケースも出ています。

Q バターや他の油なら大丈夫なのですか。

A それは違います。マーガリンの代わりにバターを取っても、バターには飽和脂肪酸が多いので、取り過ぎれば、結局、心疾患のリスクを高めます。「あぶらっこいものを取り過ぎないことが一番大事です」(食品安全委員会)ということに尽きるようです。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2015年8月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。