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変わる介護保険


介護保険の制度改正で8月から、一部の人について利用者負担が増ました。これまでサービスを利用した際には、一律1割負担でしたが、一定以上の所得のある約60万人が2割負担となるなど、2000年に介護保険制度が始まって以来初めての大幅な負担の見直しとなりました。内容が複雑なため、利用者の混乱も予想されています。介護保険の見直しに驚き戸惑う老人達(イラスト)

負担が2割になるかどうかは、市区町村から7月末までに郵送される「介護保険負担割合証」に記載されています。住民税を算定する所得データを使って自治体が判定したもので、要介護・要支援認定を受けた利用者全員に送られます。

判定基準によると、「一定以上の所得」とは、単身で収入が年金だけの場合は年280万円以上の人。世帯ではなく個人単位で判定するため、夫婦によって負担割合が違うこともあります。規定の例外として、夫婦の一方の年金が280万円以上あっても、夫婦の合計額が346万円未満なら2人とも1割負担のままとなります。

厚生労働省によると2割負担となるのは、65歳以上の約5人に1人になる見込みです。在宅サービスの利用者の15%と、特別養護老人ホーム入所者の5%で、約60万人に影響すると推計しています。

介護保険負担割合証は、5月ごろから発送している自治体もありますが、さいたま市などは7月末ぎりぎりになるそうです。同市のケアマネジャーの男性は「説明はしていますが、実際に『2割負担』となった請求があってから負担増を感じる人もいるでしょう。利用を控えるようにならないか心配です」と話しています。

●高額負担のケースは払い戻しも

ただ2割負担と認定されても、必ずしも毎月の支払いが倍増するわけではありません。自己負担額が高額になった場合には、市区町村へ申請すると一部が払い戻される「高額介護サービス費」制度があるのです。

一般的な世帯の負担上限は月3万7200円。全員に市区町村民税が課税されていない世帯は月2万4600円、年金などの収入が年間80万円以下の人や生活保護の受給者は月1万5000円が負担の上限となります。

一方で8月からは、年金などの収入が年383万円以上あるなど、現役世代並みに所得がある人は、この上限が月4万4400円に引き上げられます。夫婦で収入の合計が520万円未満の場合、市区町村に申請すれば上限は月3万7200円のままで済みます。

様々な介護(イラスト)●特養補助も見直し

さらに特養ホームなどの介護施設での食費や部屋代への補助も見直されました。

食費や部屋代は、自宅などで在宅サービスを受ける人との公平性から、施設でも自己負担するのが原則です。でも所得が低い人には、その所得に応じて数千〜数万円の補助があり、2013年度で約113万人が利用しています。

8月からは補助の要件として預貯金などの資産や配偶者の所得が考慮されます。預貯金や有価証券などが単身で1000万円超、夫婦で2000万円超の場合、補助は受けられなくなります。

配偶者の所得は、特養に住所を移して別世帯になっていたり、事実婚であっても考慮されます。配偶者が市区町村民税を課税されていれば補助の対象外になります。

補助を受けるためには、通帳のコピーなどを市区町村に提出して資産がないことを申告しなければなりません。住宅ローンなどの借金は資産額から差し引けます。不正が見つかれば、補助額の3倍を返還させる加算金制度もあります。

自治体には「親がどれだけ資産を持っているか分からない」などと相談も寄せられています。厚労省は「認知症などで資産が分からないケースでも現時点で把握できる分で申告し、後で間違いを調整する方法もあります。とりあえず自治体に相談してください」と話しています。

また、特養の4人以上の相部屋の部屋代はこれまで自己負担はありませんでしたが、8月からは日額470円、月額1万4100円(30日分)を負担することになります。独り身で年金収入が年155万円を超える人など6万人程度が対象となります。ショートステイの利用者も負担が必要です。

●費用は2025年度に20兆円

介護保険の費用は、利用者の自己負担のほか、税金と保険料でまかなわれています。今回の見直しはいずれも、膨らみ続ける介護保険の費用を賄うために、所得に応じた負担を求めるものです。昨年6月に成立した地域医療・介護確保法に基づいて制度が改定されました。

介護保険制度が始まった2000年度は3.6兆円だった介護保険の費用は、14年度には約10兆円となり、団塊の世代が75歳以上となる25年度には約20兆円に膨らむとの試算があります。65歳以上が払う介護保険料は4月から全国平均で5514円となり、制度発足時の倍近くに増えています。25年度には8000円を超える見通しです。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2015年8月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。