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詐欺被害を防ぐには


高齢者を狙った詐欺被害を防ごうと、全国の自治体や警察が悪質電話の防止対策に乗り出しています。通話の自動録音機や、不審な電話がかかってきたことを身近な人に自動的にメールする仕組みなど、さまざまな工夫が図られています。身近なお年寄りと、詐欺の防止対策を話し合ってみてはいかがでしょう。

あやしい言葉を検知する「振込め詐欺防止機器」(イラスト)●無料で貸し出し

東京都杉並区の81歳の女性は今年6月、詐欺につながる悪質な電話がかかってきた場合に、家族らに注意喚起のメールを送る機器を自宅の電話に取り付けました。きっかけは、友人が振り込め詐欺に遭いそうになったと聞いたことで、「自分も引っかかってしまうかもしれない」と思ったそうです。

土田さんが設置したのは、同区の電子機器メーカーが開発した「振込め詐欺防止機器」。会話中、詐欺によく使われる言葉を検知すると、あらかじめ登録した家族らのメールアドレスに自動的に「疑わしい言葉を検知しました」などと書かれたメールを送る仕組みです。試作段階で、まだ市販はされていませんが、杉並区が区内の60歳以上に無料で貸し出し、1年間のモニター事業を実施しています。該当する言葉は警視庁から提供を受けたほか、区内で実際に発生した詐欺被害などを基に毎月更新しています。

この女性が登録した長女のメールアドレスには、これまでに数回、このメールが送られてきました。「メールが来たら娘が『大丈夫?』と連絡をくれます。自分だけではなく、他の人が見てくれると思うと安心します」と女性。区の担当者は「詐欺の手口も巧妙化し、電話を受けた本人の意識だけで防ぐことは難しいです。周囲の人に助けてもらい、一つでも被害を防ぐことができればいいですね」と話します。

●自動録音で効果

警察庁などによると、電話などを通じて現金をだまし取る「特殊詐欺」の被害総額は近年増加し、2014年は565億5069万円。今年は7月末までで8164件が認知され、被害総額は278億4526万円に上っています。

このうち最も多いのは、息子を装ったり、架空の料金を請求したりして現金を要求する「振り込め詐欺」で、認知件数全体の9割に上ります。

最近は、現金を口座に振り込ませるのではなく、犯人が現金やキャッシュカードを直接受け取りに来たり、宅配便で送らせたりする手口が増えているそうです。

こうした電話を介した詐欺を防ぐ自治体による取り組みは、杉並区のほかにも広がっています。荒川区は今年7月から、高齢者がいる世帯を対象に、電話機に設置する自動音声録音機2100台を無期限で無償貸与する事業を始めました。設置費用も区が負担します。「この電話は振り込め詐欺等の犯罪被害防止のため自動録音されます」というアナウンスが流れ、通話が録音される仕組みで、これまでに1000件を超える申し込みがありました。自動録音を嫌がる詐欺師(イラスト)

同区の81歳の男性も、約1カ月前に自宅の電話に録音機を設置したそうです。「以前は金融商品の勧誘などの電話がかかってきましたが、録音機を付けてからまったくかかって来ません」と効果を実感しています。同区は「詐欺犯や悪質な業者が接触してきた時点でシャットアウトできるので効果的です。区内に広めていきたいです」と話しています。

詐欺の防止対策の実施状況は、自治体によって異なります。まずは住んでいる自治体に問い合わせてみることが大切です。自治体で補助がなくても個人で機器を購入することも可能です。警告アナウンス付きの録音機や、詐欺防止機能がついた電話機は、5000円から2万円台で市販されています。

●常に留守番設定に

警察庁は、簡単にできる対策として、自宅の電話を在宅時でも常に留守番電話に設定することを勧めています。事前に振り込め詐欺の知識があっても、身内のトラブルなどを告げる電話を受けて冷静さを失い、だまされるケースが多いためです。留守番電話のメッセージを聞いた後だと、落ち着いた対応が可能になります。警察庁は「電話を聞いて少しでもおかしいと感じたら、迷わず通報を」と呼びかけています。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2015年10月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。