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パソコンが使えない若者、増加中です


若い世代でパソコンを使えない人が増え、話題になっています。IT企業ですら新入社員がパソコンを使えず、困っているケースもあるそうです。スマートフォン(スマホ)の普及や、親・学校のパソコンへの理解不足、経済的に苦しい家庭が増えていることなどが原因と考えられ、職に就くためにも技術を習得する必要性が高まっています。パソコンの操作に悩む若者(イラスト)

●スマホの普及が一因

「本日はこちらのエクセルの表を皆さんに作ってもらいます。まず、データを入力して、名前をつけて保存してください」

東京都立川市で若者の就労支援を行うNPO法人では、就職希望の若者へのパソコン講座を開催しています。この日は、男女5人が参加。表計算ソフト「エクセル」の基礎を教わっていました。

女性講師は、かんで含めるように説明していますが、操作に不慣れでまごまごする受講者もいます。講師は「みなさん熱心ですが、思っている以上にパソコンの腕は十分ではありません。ここでパソコンの基礎を習い、働く自信をつけてもらえれば」と話しています。

講座は今年で6年目。日本マイクロソフトと全国の26団体が参加して、昨年度までにのべ3万人近い若者が受講しました。いくつかのコースに分かれ、ワード、エクセル、パワーポイントの基礎から、ホームページの作成など一歩進んだ内容まで選べます。

このNPO法人が参加者に尋ねたところ、66%が「仕事でパソコンを使うことに自信がつきました」と回答しました。受講3カ月以内の就労率は、受講していない人に比べて12.8ポイント高くなっています。

学生時代までスマホだけだったため、パソコンのキーボード入力に不慣れな人がいます。パソコンがあってもゲーム、ネットだけでエクセルやワードを使ったことがない人も増えています。メールにしても、(無料通信アプリの)LINE(ライン)とビジネス用は違います。

高校では情報教科が必修になっていますが、少し学校でやったけど身につかないうちに忘れてしまったケースが多いそうです。「派遣社員、正社員にかかわらずパソコンのスキルは必要で、パソコンの腕がないのは現代では貧困につながります。人生を豊かにするために技術を身につけてほしいです」とこのNPO法人は訴えています。

●家計と利用率に相関関係

内閣府が今年2月に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、スマホを利用する高校生は89%に達していますが、ノートパソコンは30%、デスクトップパソコンは16%に過ぎません。

内閣府の別の調査によると、米国の13〜17歳のネット利用者のうち、コンピューターを活用する人が98%と、携帯電話の64%を上回っています。英国でも12〜15歳の92%がパソコンを利用していて、欧米に比べて日本の青少年のパソコン利用率は少ないのです。

経済協力開発機構(OECD)が15歳を対象に行い、今年9月に発表した調査では、欧米では家庭の経済状況と子どもの家庭でのパソコン利用率は差がないところが多いのですが、日本は経済的に豊かでない家庭では、パソコン利用率が下がっています。

学校でのパソコン利用率も調査した42カ国のうちで下から2番目です。こうした点から、家庭でも学校でもなかなかパソコンを利用できない層がいることが浮き彫りになっています。

●社会で使える授業を子供にパソコンを教えている風景(イラスト)

ある民間研究機関は、都内のITメーカーから「新入社員がパソコンを使えず、グラフもメールも書けません」と相談を受けました。調べたところ同様のケースが増えていると分かりました。

この研究機関は、「『パソコンがないと社会で仕事ができない』という意味を親が理解せず、子どもにパソコンを与えていないことや、学校の授業がせいぜいワード、エクセルの初歩的な使い方にとどまり、応用的な使い方を教えていないことが背景にあります」と指摘しています。スマホだけではなく、パソコンも使えないと、グローバル競争が広がる中、社会人として生き抜くのが厳しくなります。

この機関は「親が子どもにパソコンを使わせるとともに、学校でもきちんと教えるべきだ」と指摘しています。たとえば論文を発表させることで、ワード、エクセル、パワーポイントから、検索の仕方、著作権の問題など総合的にパソコンを使いこなせるようになる授業を行うことが望ましいというのです。

企業はパソコンを使えない若者が増えていくのを嘆くのではなく、それを前提に、内定者のパソコンレベルを調べ、研修で教え込むといった対策が必要な時代になってきているようです。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2015年11月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。