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「無理せず寄付」が広がっています


欧米に比べて人々の関心の低い寄付活動を日本でも根付かせようと12月、官民共同で初めての「寄付月間」が行われています。2011年の東日本大震災で多くの寄付が集まった後、全体としては一段落した感がありますが、ITを利用するなど手軽にできる新しい動きが広がっています。

●震災後に増加街頭募金にお金を入れる男性(イラスト)

2012年の国内での個人による寄付金の総額は6931億円に上り、震災以前の5000億円前後から4割近く増えています。しかし、米国の2289億ドル(当時のレートで約18兆円)、英国の93億ポンド(同約1兆1500億円)に比べると低額です。一方で組織への寄付金、例えば日本赤十字社への寄付金は、11年は1000億円を超えていましたが、昨年は200億円を下回りました。それでも、NPOなど現場では変化の手応えを感じているそうです。

ヘルシーメニューを食べると、1食当たり20円が飢餓に苦しむ途上国の給食にあてられる活動をするNPO法人は10月16日の「世界食料デー」に合わせ、「100万人のいただきます!」キャンペーンを11月30日まで行いました。

西友や大丸松坂屋といったスーパーやデパートでは、このNPO法人への寄付付き食品を販売しました。大手ネット企業は「レシピをみて2品を作った」というリポートをネットに投稿すれば、20円をNPO法人へ寄付しました。NPO法人自身も特設サイトを設け、おにぎりの写真を投稿すると途上国の子供に給食5食を寄付する仕組みを作りました。昨年も同じようなキャンペーンを行っており、昨年は160万食以上の給食を提供できたそうです。

この法人は07年に設立され、手軽に寄付できるため、企業の社員食堂やレストランなどが次々に協力しました。参加企業・団体も当初の6から686に増えています。

この法人によると「東日本大震災で、寄付への関心が高まったことが一番大きかったです」とのこと。食事や購入するだけで寄付ができる手軽さも好評だそうで、店頭に「売り上げを寄付します」と表示されていると、売り上げが10%伸びた例もあったそうです。自分にとって無理のない範囲で何かをしたい人はいらっしゃいます。街頭の募金箱に入れるのは恥ずかしくても、自分が食べるだけで社会貢献できるからやりやすいのだそうです。

●楽しみながら

あるベンチャー企業のサイトでは、NPOや団体が紹介されています。その中から関心のあるものを一つ選んで利用者が「応援する」というボタンを押すと、ランダムに10〜1000ポイントが団体に付与されます。ポイントは週ごとに集計され、3000ポイントで300円、3万ポイントで3000円が、スポンサー企業から団体に寄付されます。スポンサー企業は、利用者から自社のフェイスブックの「いいねボタン」も押してもらうことができ、広告協賛費としてベンチャー企業側に資金を提供します。「無理せず寄付」の例(イラスト)

ボタンを押すだけで、自分は一切お金を払わなくてよい手軽さと、自分が押した時に何ポイントでるか分からないゲーム感覚の楽しさが受け、2013年のサービス開始以来、2年間で610団体に約6800万円の寄付が集まりました。

このサイトでは、社会貢献をしたいと思いながら、寄付までには至らない層をターゲットにしています。ハードルが高くなるお金を出す行為ではなく、自腹を切らないで応援する仕組みです。「楽しくないと続かないので、ゲーム感覚でできるようにしました」とNPO法人は説明しています。

●官民共同

こうした動きに勢いをつけるために行われているのが「寄付月間」です。推進委員会には内閣府や日本赤十字社、企業、大学、NPOなど幅広いメンバーが名を連ねています。寄付について考え、きっかけを作ろうと参加団体がそれぞれイベントなどを行って、寄付をPRしています。

日本と欧米では、文化や税制の違いで寄付が根付かないとされていましたが、震災後は変わってきています。特にネットで情報を得るのが当たり前の一方、物だけでは豊かになれないと実感している若い世代は社会貢献に関心が高いようです。日本赤十字社も「寄付月間という新しい取り組みを通じて、国内外で人道支援を待つ多くの人々の存在を知り、興味や関心を抱くことで、赤十字の人道支援活動に対しお気持ちを寄せていただきたいです」と期待しています。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2015年12月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。