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空間を集約する「減築」で快適な暮らしを


世帯が縮小するのに合わせて住宅をコンパクトに造り替える「減築」が注目されています。高齢者の単身や夫婦だけの世帯は今や全体の2割を超え、使わない部屋を持て余す人は多くおられます。生活空間を集約することで暮らしの負担を減らす効果が期待できるのです。

「日々の生活が楽になり、毎日が楽しいです」。千葉市稲毛区で暮らす71歳の男性は、2014年6月に、1人暮らしの2階建て住宅を平屋に改築しました。延べ面積は87平方メートルと、それまでより3割減りましたが「理想的な住まいになりました」と話されます。

男性は家電製品の修理技術者として働いて来られました。1982年に父母と弟の4人家族で現住所の新築の家に引っ越しました。84年に父が亡くなり、その後、弟のがん闘病を支え、認知症の母のために介護離職して最期をみとられたそうです。以来1人暮らしは10年を超えます。

●使わない部屋増え減築前の戸建(イラスト)

北関東に住む7歳年下の別の弟から「近くに来ないか」と誘われ、一時は転居を考えたそうですが、家族で暮らした家や、母親が手をかけた庭への愛着があり、踏み切れなかったそうです。使わない部屋は多く持て余していたものの「だらしなくはできない」と掃除は欠かさなかったとのこと。

近年の株価上昇で資金にゆとりができたことや、昨年1月からの相続税改正で税負担が増えることなどから、平屋への改築を考えるようになったそうです。「余命ざっと10年。金融資産を抱えているより、快適な生活がしたかったのです」

男性は書斎兼寝室で大半の時間を過ごします。押し入れを作ったため、そのぶん隣接するダイニングキッチンは狭くなりましたが1人暮らしには十分だそうです。以前は冬場に2階の寝室から1階のトイレに下りるのがつらかったのですが、今は洗面所、トイレ、風呂など生活に必要な空間への移動が楽になりました。客間2室は弟ら来客用です。

客間の縁側には深いひさしを作り庭が見通せるようにしました。階段が不要になって広くなった廊下はカリンの天然木を使い重厚な仕上がりに。「生活の質」にこだわった家には満足しておられるそうです。

●世帯縮小に合わせ減築後の戸建(イラスト)

元の家屋を生かしながら、世帯の縮小に合わせ床面積を減らす、この男性宅の改築手法は「減築」と呼ばれています。

かつては改築といえば増築が主流でした。子どもが増えたり、子どもが結婚して同居したりするなど、次第に家が手狭になることが多かったためです。

しかし、少子高齢化や人口減少で世帯規模は小さくなり、65歳以上の高齢世帯では部屋を持て余すケースは少なくありません。住宅・土地統計調査によると、高齢単身者の6割、高齢夫婦世帯の8割が戸建てに住んでいます。その高齢夫婦世帯の住宅の8割は、「豊かな住生活に必要な住面積」とする国の水準を上回っています。

住宅リフォーム最大手の不動産会社は、古い住まいをまるごとリフォームする「新築そっくりさん」事業を96年から展開し、これまでに10万棟を手がけたそうです。近年はリタイア世代を中心に減築へのニーズが高まっており、特に、子の独立、孫の誕生などライフスタイルの変化を契機に考えるケースが多いのだそうです。建て替えに比べ工事費用は5〜7割に抑えられます。

●建て替えより安く

減築で期待できるメリットは主に3点あります。

第一に居住の快適性です。生活空間が集約されることで、日常生活の負担が減ります。掃除や手入れなどもしやすくなり、特に平屋にした場合はバリアフリー化も容易になります。住み慣れた家を離れずにすむことも大きいです。

第二が経済性です。固定資産税や都市計画税が軽減でき、光熱費も抑えられます。使わない部屋は傷みやすいため、メンテナンス費用の削減も見込めます。

第三に安全性です。耐震性能が向上したり、防犯上の死角が減ったりします。

減築など住宅リフォームには耐震、バリアフリー、省エネなどについて補助・融資など公的支援を受けられることもあります。住宅リフォーム推進協議会のサイト(http://www.j-reform.com)では自治体などが行っている制度を検索することができます。

<期待できるメリット>
■居住快適性
・生活空間が集約され住みやすくなる
・掃除や手入れなどがしやすくなる
・バリアフリー化をしやすい
・住み慣れた家や地域を離れずに済む

■経済性
・固定資産税や都市計画税の軽減
・メンテナンス費用の軽減
・光熱費の軽減

■安全性
・耐震性能が向上
・防犯上の死角が減る


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2016年2月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。